天使にラブソングを〜シスター・アクト〜　　２０１６年７月２日夜公演
梅田芸術劇場　三階Ｂ席

デロリス・ヴァン・カルティエ：森公美子 エディ・サウザー：石井一孝 カーティス・ジャクソン：石川禅 シスター・メアリー・ラザールス：春風ひとみ シスター・メアリー・パトリック：浦嶋りんこ シスター・メアリー・ロバート：宮澤エマ

TJ：泉見洋平 ジョーイ：KENTARO パブロ：上口耕平 オハラ神父：今井清隆 修道院長：鳳欄

　映画はテレビ放映で観たことがあったけどミュージカル化されていたんですね、な『天使にラブソングを』、観てきました！
　基本ストーリーは同じだけれど一部キャラクターの内面がより深く描かれている感じでしょうか。
　デロリスやエディ、シスター・メアリー・ロバートなど、基本コメディなのにたまにぐっと来るところがあってずるいぞ！
　「シスター」は「修道女」と「姉妹」のダブルミーニングなんですね。女の友情シーンには本気で感動しました。いいなあ！
　ところであの歌、ラブソングを神様への愛の歌として歌うのは同じでも、映画版よりかなり際どい歌詞でしたよね？　教会で口にしちゃ駄目そうな言葉が出てきておりましたよね？　「おいおいおい」と思ったんですが！
　まあ考えてみれば修道女は「神の花嫁」なわけで、ストレートなラブソングでも……いやでもさすがにあの歌詞は、大丈夫だったのかなあ……？
　あとあの衣装は良いのでしょうか。ロックな聖歌はまだしも、ギンギラギンの司祭服やシスター服は本当に良いの？　観ていて目がチカチカしたんですけど（笑）、あれを法皇様にお見せしたの？　大丈夫だったの？　懐深いな猊下……。

　キャスト（キャラ）感想です。

■デロリス・ヴァン・カルティエ（森公美子）
　一目見て、カーティスが彼女のどこに惚れたのか分かりますな……。（笑）
「ここが好きなんだ、痩せるなよ」とか言っていましたしな。
　いつもけなされてばかりで、「愛されたい」という願望が強い女性という設定だったのですね。だからってよりによってカーティスみたいなのに引っかかるなよと思いましたが。でも、「スターになりたい」よりは「歌が好き」だったんだろうな。それが「唯一褒められたことだったから」だったりしそうですが。
　で、シスターたちに受け入れられて、必要とされて変わっていく姿が感動的です。
「さあ、声を出せ！」のシーンで一番じーんと来たかもしれません。
　そうだよー、歌うって楽しいんだよー。思いっきり声を出して、綺麗にハモったらものすごく気持ちいいんだよー！
　このとき彼女はシスターたちにその歓びを教えると同時に、自分もそのことを再認識したんじゃないかなという気がします。
　自分のことばかり、文句ばかりだった彼女（気持ちは分かるが少しは自分の置かれた状況を考えろと言いたい）が、メアリー・ロバートにあれだけ優しい言葉をかけられるようになり、「人と人との繋がり」を語れるようになったのは、間違いなくシスターたちとの絆のおかげなんですね。この辺映画版よりずっと深く描かれていて本当に感動的でした。
　……ところでエディ君とはどうなるんですか？　本当にシスターになっちゃったらそれは駄目ですよね？　いろんな意味で彼が不憫なので愛と友情が両立する道を願っておりますが、しかし女の友情の方が強そうなんだよなー！
　まあ、彼女がシスターの道を選ぶとしたら「神への信仰に目覚めたから」ではなく「シスターたちとの友情のため」だろうから（聖書読んでたとはいえ）、それだと院長様に断られるかもしれませんですね。

■エディ・サウザー（石井一孝）
　いやどこから見てもめっちゃ良い男じゃん！
　ちょっとヘタレだけど優しくて一途で真面目で文句なしじゃん！
　汗っかきが何だっつーのよこんな良い男にずっと前から想われていて何が不満だったっていうんだデロリス！
　……と、本気で思いました。
　あんな全然路線の違うのに憧れるくらいなら、自分に合った道をそのまま貫く方が遙かに良いですよ。絶対モテてると思うんだけどなあ！　報われて良かったね！
　……ええと、ほんとに報われたんだろうな…。幸せになってください！

■カーティス・ジャクソン（石川禅）
　本当のところ相当悪い奴のはずなのに、傍にいる部下がアホばっかりのためか、全然そうは見えない辺りが大層よろしいかと。迫力はあるのに素晴らしい小悪党感です。
　強がっているけど実は内面弱い奴なんじゃないかな、という気がします。
　デロリスに何度も「お前は俺がいなければ何も出来ないんだ」と言うのは、そういう形で自分を肯定しようとしているんじゃないかなーと。うわー駄目な奴だ。
　…ていうか、あの服、どこで売ってるんでしょうか……本当にあるのかな、あんな「マフィアの親分御用達」みたいな服。（笑）

■修道院長（鳳蘭）
　苦労なさって……（涙）
　正直、「もったいない、何でこんな美人が修道女に」と思ってしまったわけですが（余計なお世話だよ）。
「神の御業」と「人と人との繋がり」を同じものだという言葉にじんと来ました。何だかんだで実は彼女が一番デロリスを想ってくれていたのかな。厳しくも優しくてとても素敵な方でした。
　しかし「ライブ」という言い方はまずいと思うの。さすがにそれ言っちゃったら何か大切な一線を越えてしまうと思うの！（笑）
　カーテンコールで、ついに彼女までギンギラ衣装になられたときはどうしようかと思いましたが……考えてみれば、あれ、相当お金かかってますよね？　自分たちで仕立てたとしてもあの人数分、生地代だけで結構な額になりますよね？　時間もかかるし……院長様が承知していないわけはなかったのでは？　つーか教会もいつの間にか窓が立派なステンドグラスになっていたしな……相当寄付集まったんだな……。

■オハラ神父（今井清隆）
　とても温かいお人柄を感じさせる優しげで素敵な神父様、と思っていたらノリが良すぎるわぁ！！（笑）
　シスターたちの歌を聴いてこっそりノリノリになっているし、二幕ではもう完全にロックコンサートの司会者化しているし！
　もしや経験者なのではという気さえしてくる思いきりの良いテンションだし、……本当に経験者だったりして。
　というか、ギンギラ司祭服で登場したとき、素で「おい」とツッコんでしまったのは私だけじゃないと信じております心から。思い切りが良いにもほどがあるわ。
　…はっ、ひょっとしてあのとんでもないシスター服は彼の差し金か。だから院長様も止められなかったのかっ！？ 　神の愛は本当に懐が深いですなあ……。

　その他、シスターさんたちは皆さんパワフルで素敵でした。メアリー・ロバート可愛い。
　あと、カーティスの部下たちを皆さんやたら手際よく撃退していらっしゃいましたが、実は武闘派シスターが多いのですかこの修道院。個性を追求するのも信仰の道かもしれんという気がしてきてしまいましたよ。
　そのカーティスの部下は本当に見事なアホ揃いだしな！　何で揃いも揃って尼さん口説くことしか考えられないんだ！　そして確実に失敗しそうな口説き文句ばっかりなんだ！（笑）

　カーテンコールで使用するための光る腕輪が配られていまして（結構簡単に光ってしまうらしく開幕前から光ってしまった……）、せっかくなので踊ってきました。
　いやあ、このダンス指導に憶えがあるなと思ったらヘルヘルだったのねパブロ君。面白いな君！（笑）

　実に楽しくて、しかも感動出来る作品でした！　面白かったー！

　お読みいただきありがとうございました。


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