ミス・サイゴン ２００４年８月１２日（木）昼公演１２：３０〜
帝国劇場 二階Ｓ席
エンジニア
クリス
エレン
ジジ橋本さとし
井上芳雄
石川ちひろ
高島みほキム
ジョン
トゥイ笹本玲奈
坂元健児
泉見洋平
＜アンサンブル＞
愛田芽久 浅野実奈子 荒木里佳 樺島麻美
香山ゆき 坂本法子 史桜 中川菜緒子
藍澤幸頼 饗庭大輔 阿部よしつぐ 乾あきお
織田和馬 小原和彦 KAZZ 小鈴まさ記
小西のりゆき 齋藤健二 櫻井太郎 清水隆伍
神宮崇 杉山有大 清野秀美 附田政信
中澤真太朗 日比野啓一 松村曜生 萬谷法英
村上幸央 森隆二
まずはお断りを。
ある程度知識はありましたが、初めて観る舞台ですので、頓珍漢な感想を書いていることでしょう。役者さんも全く詳しくないですし（ええもう、それなりに見ているはずの四季の役者さんさえほとんど知らないですからねこの女）。初演から何度も見たという方からすると何書いてんだと思われることもあるかと思いますが、初心者の書くこととして、どうぞご容赦下さいますようお願いします。
では、以下感想です。
＜全体的な感想＞
一回しか見ない予定だからとＳ席を奮発してみたのですが、二階最前列でほぼ真ん中だったこともあり、舞台が見やすく、良かったです。
この舞台に関しては、何冊かのミュージカル紹介の本の解説と、ロンドンとドイツのＣＤ、あとはベトナム戦争に関する高校世界史レベルの記憶といろんなドキュメンタリー番組などを見た知識のみがございました。で、それから想像していたより、うんと面白かったです。
いや実はですね、よくベトナム戦争版『マダム・バタフライ』と紹介されている演目ですから、こりゃ腹立つかなと思っていたんです。『マダム・バタフライ』はふざけんなこらピンカートン！蝶々もあほかいあんたは！という話ですから。
しかしそういうことは全くなく、『マダム・バタフライ』に持っていたイメージとだいぶ違う印象を受けました。
『マダム・バタフライ』はあくまで悲恋物語で、それを日本情緒たっぷりに描いたオペラ、ですよね（いかにも欧米人が喜びそうだな）。
しかし、『ミス・サイゴン』は、それとはだいぶん違うと思う。どこがどうとは上手く言えませんが…うーん。ものすごく大まかな筋は『マダム・バタフライ』風かもしれないけど、主題は違うし受ける印象も全く違うよなぁ。あー、上手く言葉が出てきません。すみません。
ともかく、ストーリーや登場人物の誰に対しても、怒りは感じなかったです（ベトナム戦争でアメリカのやったことに対しては話が別ですが）。どちらかというと、ものすごく切なくて哀しい。泣きはしませんでしたが、本当に切なかったです。
凄いと呼び声高いヘリコプターが、意外と「あれ、こんなもんなんか？」で終わったのは残念でしたが…初演は本物使ったという話を読んだので期待してたんですが、いかにも作り物って感じでちょっと…（作り物としては凄かったと思いますが）。一階席だったら良かったのかな。うーん。
役者さんはどなたも良かったです。詳しくはそれぞれ書きます。
ＣＤを聞いて、好みの音楽がたくさんあると期待していたので、生オーケストラで堪能出来て嬉しかったです。特に「火がついたサイゴン」とか、「サイゴン陥落」とか、「ブイ・ドイ」とか、「命をあげよう」とか「アメリカンドリーム」とか、いやーおもしろかったぁ。
＜キャスト別感想（敬称略）＞
■エンジニア：橋本さとし
うさんくさ！！ 舞台に登場したとたん、そのあまりの胡散臭さに大笑いしそうになりました。
背が高く痩せておられて、ちょっと髪が長めで濃いお顔立ち。それだけでも目立つというのに、雰囲気がまあ、わたくし真っ当な人間じゃありませんと言いながら歩いてる感じで。それだけで凄かったです。存在感抜群。
声がよく通って歌もお上手だし、演技も面白かったです。
本当にアメリカンドリームを信じているかというと微妙なところなんですが、信じていようがいまいが、それにすがりついて生きているような雰囲気がありますね。彼は、アメリカにもし行ったら、本気でドリームを実現させるか、一瞬にして破滅するか、どちらかになるんじゃないかと思いました。
■キム：笹本玲奈
笹本さんを再び見られて満足です。やっぱりこのひとすごいや。１９歳であれだけ出来るのか。難しそうな曲も多いのに、奇麗に歌っておられました。高音がもうちょっときちんと出るようになれば、そして柔らかみが加われば、怖いもんなしじゃないだろうか。（ファンモード入っております）
ちょっとぽっちゃり気味の丸顔が可愛らしいなぁ。誰かに似ていると思うんだけど誰だろう…。
あと、あの年齢で母親としての演技なんて難しいだろうに、しっかりこなしてらしたと思います。
一番可愛かったのは一幕始め、店に初めて連れてこられたときのぎこちない動き。可愛かったなぁあああ。クリスもそりゃ惚れるだろう。
■クリス：井上芳雄
普通にハンサムさんだし、なにより誠実そうなところが実によろしいですね。クリスはもともと真面目で優しくて誠実な良いひとみたいですから、ぴったりかと。
歌もお上手でした。特に、エレンにベトナムのことを話すシーンはまさに慟哭とでもいうべき迫力でした。どのナンバーだったっけか？
■ジョン：坂元健児
ジョンやNYやロンドンでは黒人兵らしいですね。そこにも意味があるんだろうな。
歌は言うことなしでお上手でした。「ブイ・ドイ」は迫力ありました。声量すごいなぁ。
ジョンは、真面目でお人好しで優しくてちょっとお節介、というキャラクターなんでしょうか。坂元さんのジョンはそんな感じ。
クリスとは別次元で誠実なひとですね。行動力もあるし。
ジョンの活動（ベトナムから子どもを引き取る）が全く良いことと言えるわけではありませんけど、彼の人間性はとても健全で誠実と見えるので、私は否定する気にはなりません。「ブイ・ドイ」の歌詞はなかなか強烈ですけどね…あれ、日本語歌詞もすごいですけど、英語歌詞もほとんど同じようなこと言ってるんですね……。うーん。
■エレン：石川ちひろ
…歌がずいぶん不安定だったような…高音が出てなかったような…。
エレンは非常に理性的で、かつ情愛に溢れて、包容力のある大人の女性だと思いますが、ちょっと理性が勝ちすぎているように見受けました。もうちょっと人間的な暖かみというものが見えたらもっと良かったなぁ。
クリスとエレンではエレンが年上というイメージだったのですが、それにはぴったりでした。大人っぽかったので。
最後にエレンがタムを受け入れるシーンが、どんな世界・時代にしろ、次代への希望や夢や繋がりを表しているようで、彼女の存在は大きいなと思いました。
■トゥイ：泉見洋平
レミコンでマリウスを見たときは、なんてなよなよした情けない男だと思ったのですが、トゥイは良かったです。なんだ、そんなひょろひょろしてるわけでもなかったんですな。
きつめの声が迫力ありましたし、怒鳴りつけるような押しつけがましい歌い方がお上手だったと思います。
『キムの悪夢』で彼の亡霊が出てきた時って、あれはキムに見えているのでしょうか。あまりきちんと憶えていませんが、確かキムはうずくまって恐怖に震えていたように思いますが、見えていたのかただ恐怖を感じていたのか、どっちなんだろう。
■ジジ：高島みほ
ジジをはじめ、女性陣はそりゃすごい格好で出てこられるのですが、みなさんスタイルよろしくて良いですね。
彼女と、クラブの女性達が歌う「我が心の夢」は哀しげで、当時のサイゴンの情勢の一面をよく示してるんだろうと思いました。うーん、切ない。
あと、タムが可愛かったです。カーテンコールでエレンとキムに呼ばれて出てきたときは、「いやー、かわいいー」と溜息が漏れてました。
思っていたより本当に面白かったです。機会があればまた観たいですが…大阪で上演されることはなさそうだなー。またいつかやってくれるかな。
以上、お読みいただき有り難うございました。
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