マンマ・ミーア！ ２００３年８月８日（金）夜公演１８：３０〜
電通四季劇場「海」 二階Ｓ席
ドナ・シェリダン
ターニャ
サム・カーマイケル
ビル・オースティン
アリ
エディ：保坂 知寿
：前田 美波里
：荒川 務
：栗原 英雄
：森実 友紀
：川口 雄二ソフィ・シェリダン
ロージー
ハリー・ブライト
スカイ
リサ
ペッパー：吉沢 梨絵
：久野 綾希子
：八巻 大
：田邊 真也
：五十嵐 可絵
：大塚 道人
＜男性アンサンブル＞
岩城 雄太 太田 浩人 田辺 容 丹下 博喜 鎌滝 健太
中島 大介 吉賀 陶馬ワイス＜女性アンサンブル＞
ナラ 加藤 久美子 沼上 麻子 岡 聡里 今井 美範
中出 裕子 佐伯 奈緒
とっっっっっても楽しみだったマンマ・ミーア。見て参りました。
とりあえず一言だけ。ものすごく面白かったです。はっきり言って、ここまで楽しいとは思わなかった……えーと、まだ観てない方、一度は観ることをお勧めします。損はしません。
とにかく、ハイテンション。
ひたすら陽気。
出てくる人がみんな本当に明るくていい人ばかりで、観ていて本当に幸せな気持ちになれます。話も爽やかだし、曲も聴いていて心地良いし……アバの曲ってよく知らなかったんですが、いいですねえ。しみじみと（その内ＣＤ漁りだす可能性大変高し）。ついでに、いいなあ生演奏。えー……いつものようにストーリーに沿って感想を書くとネタバレの心配がかなり大きい（やってもいいんだけどね）ので、キャスト（というかキャラクター）感想を中心に行こうと思います。
※注意したつもりではありますが、ネタバレの可能性は十分あります。ご注意下さい。
※キャストは敬称略で記しております。ご了承を。
■ドナ・シェリダン（保坂知寿）
半分はこの方を観たくてチケット取ったと言っても過言ではなかった保坂さん。ファンです。
まあ、何でも出来る方なので何一つ心配してはおりませんでしたが素晴らしかったですねー。いいなあ、かっこいいお母さんだなあ。しかも、めちゃくちゃ綺麗で細くてスタイル良いんですけど。一幕最後のダンスパーティーでの衣装見て私は真剣に感心しました。ふ……二十歳の子どもがいるようにはとてもとても見えませんことよ………。どないしたらその歳（ドナの正確な年齢設定は知らないけど、４０過ぎくらいのはず）でそこまで美しい………
とまあ、ファンモードは脱しまして。ドナ。いいですね、本当に素敵なお母さんですね。いや、うちは家庭円満なので母子家庭の実態がどんなものなのかなんて想像するしかないわけですが、ソフィが本当に幸せに育ったのは間違いありません。
会ったこともない人に招待状出してあっけらかんと「だってお父さんに会ってみたいの」なんて、ちょっとでも母親とふたりの暮らしに屈折した想いがあったら言えないことだと思うんですよ。今の暮らしからの逃避、という気持ちが欠片もないわけですから。彼女がここまで何の屈託もなくお父さんを捜せたのは、つまりはお母さんがそれだけしっかり育ててくれたからですよね。良い家庭だよー。若い娘たちの前で昔の格好して歌って、喜ばれてるし。本当に好かれてるんですよね、これは。
ウェディングドレスを着た娘を見つめながら「この手をすり抜ける」と歌う彼女ですが、大丈夫、すり抜けることはないです、きっと。
というところでツッコミ。「父親かもしれない人」が三人もいるという時点でまあかなり「おいおい」という話なのですが、当人がきっぱりと「私にも分からない」と言う辺り……堂々としすぎだ。
いやあ、ソフィが盗み読みした彼女の日記が何しろ笑えたんですけどね。一月ほどの間に本当に三人かい！！ しかも、全部「素敵な夜だった」から始まってパターン完全に一緒！！ ちょっとは飽きろ！！（そういう問題でもないですね……）
で、本命はその中のひとりなわけですが、考えてみればそれが誰なのかは早いうちからヒントがあったのでした。彼女が昔の恋人たちと再会し、動揺して歌う「マンマ・ミーア！」は未練のある相手ひとりを「あなた」と呼んでいるのですが、その歌の中で出てくる言葉「あの裏切り」。彼女に対して「裏切り」と言えるようなことをしているのは、話を聞く限りひとりしかいない、と……
でも何であんなに動揺するかな。「予約は入れてある」と言っていたからには、名前が来てると思うんだけど。それともドナは予約の管理なんかは従業員任せにしてたのか？ はて。
しかしまああれだけ動揺したかと思ったら友人ふたりにあっさり乗って立ち直る辺り、本当に強いなあ。あ、「チキチータ」のシーンは良いですね、女の友情で。
あとちょっと不思議なのは、元恋人の三人の男が誰ひとり「他にもおったんか！！」と怒らなかったことですね。「２１年前」とみんな言っていて、ほぼ同時期であることは全員分かっていたと思われるのですが、「あれだけ魅力的なんだから当たり前」と受け止められているような。普通怒ると思うんだが、むしろみんな「昔彼女と付き合ってたんだ」「ああ僕もだよ」と意気投合し、「素敵だったなあ彼女」と盛り上がっていたように思えました。ごく自然にそうなってたみたいだけど、これってそうそうあることじゃないと思う。どんな女だったんだ、ドナ……（そりゃあそれだけの魅力がある好い女だったんでしょう）
ところでソフィが「何百人と寝てても」云々と言ったとき、この三人以外にも三人ほど立った男がいたんですが、その辺は……きっと誰も気にしてないんだろうな……
■ソフィ・シェリダン（吉田梨絵）
可愛かった……。可愛くて元気で良い子ですねー。お母さん、ええ子育てしはったわぁ、としみじみ言いたくなりました。
しかしまあ明るいにもほどがあると言うか母親の日記を盗み読みするなと言うか……これに対するご友人ふたりの「普通は母親が娘の日記を盗み読みするのよ」というツッコミは笑った。いやまあ、そうかもしれんけど……
しかし、考えてみれば一見して思える以上に行動力のある娘ですね。母親の日記を盗み読みして父親かもしれない人の名前を知っただけでなく、彼らの住所まで調べ上げたわけで……（日記に書いてあったとも思えんし）。
ラストでは本当に可憐な外見に似合わぬ芯の強さとたくましさを見せてくれまして……ええ、彼女はしっかりお母さんの血を引いていますね。強く生きていってくれることでしょう。て言うか、スカイ、あんた絶対尻に敷かれるから……（あーあ……）
とりあえず彼女の見た悪夢（うーん……ウェディングドレス……）をフロイト的に分析したらどーいうことになるのかとかそういうアホなことを考えるのはやめておきます。でも、海の中のイメージってことはやっぱり母親の……（だからよせ）
■ターニャ（前田美波里）
とりあえず一言叫びたい！！ その谷間は自前ですか？！！ 自前なんですかー？！（落ち着けよ……）素で拝んだぞ私は！！
いやー、本当にお美しいですわー。「チキチータ」のシーンからしばらく来ていた服、スリットはすごいわ背中は豪快に開いてるわ、わたしゃソフィの方がずっと歳近いんですがとてもとてもあんな服着られません……主に胸のサイズと脚の長さで……（それ以前に顔の造りだな……ふ……）
ええもう、これだけ素敵なおばさまなら、同性としてうらやむ気にもなれませんね。むしろ「雑巾がけから修行します！！ 弟子にしてください！！」ってところですか。アリとリサが「ターニャさん」と慕うのもよく分かります。
こんな方に「坊やちゃん」なんて呼ばれた日にゃーあなた……ペッパーがのぼせ上がるのも無理はありませんわ。しかし、「私はあなたの母親になれる歳よ」と言われて「じゃあ、僕はオイディプスになれる」というのはシャレにならないから落ち着こうね若人。そりゃーギリシア三大悲劇のひとつじゃなかったかい……いや、それ以前に結局昨夜何があったんだ君たち。
がんばれペッパー。君はまだ若い。男も女も、真の魅力が出るのは３０過ぎてからだ！！ がんばって自分を磨くが良い！！
■ロージー（久野綾希子）
この方も素敵でした。ターニャとの会話は見事に漫才。良いなあ、こんな友達。
そしてビルへの迫り方がまた素敵でした。「じゃあ、私の料理の仕方も知ってるわね？」……どうしようかと思った。ビルが凍っておりましたが……
さらに「テイク・ア・チャンス・オン・ミー」での積極的なアタック！ 逃げまどうビルが大笑いでした。ああ、逃れられんでしょうなあ……まあ、覚悟を決めて尻に敷かれてください。それもまた幸せというものです。
この話に出てくるカップルって、例外なく女の方が強いですね……。ええ、大変私好みでございます。パワフルな女性は好きですね。
あと、腰は大丈夫でしょうか。その後元気に歌ってたし大丈夫か？
■サム・カーマイケル（荒川務）
はまり役だったと思います。つーか、この役のオリジナルを芝さんがやったというのが想像付かん。ふたば曰く、「荒川さんがサムのオリジナルじゃないのが不思議」 同感です芝さんのサム……建築家の芝さん……どんなだったんだろう？ ドナとソフィと両方の友人たちから「うわサイッテー」「典型的な女たらしね」と言われる点に納得がいきそうで怖い（ごめんなさい芝さん大好きです！！ つかタガーの印象そんなに強かったか！！）
いや、何というか声が綺麗で高くて繊細そうで、本当にキャラクターのイメージにぴったりだったんですよ。しかし、若々しかったなあ。ふたりの子持ちには到底見えなんだ。
と言うわけで一言だけ。あなたね、自分が結婚生活でいろいろと大変だった（つーかそれあんたの自業自得だろ）のは分かるけど、だからってこれから結婚しようって相手に身も蓋もなく「別れろ」なんて言っちゃいけません。「ダイナモのドナに結婚の何が分かるっていうんだ」という台詞には、やたら実感こもってて楽しかったですが。そうか……苦労したんだね……
まあ、幸せになってね、というしかないですね、彼には。
■ハリー・ブライト（八巻大）
ふたば曰く、「八巻さんってタガーの時はどうとも思わんかったけどかっこいいやん」妹よ……まあ、言いたいことは分からないでもないんですが、タガーの時も普通にかっこよかったじゃないか！！
個人的に眼鏡が良いですね、眼鏡が。あの眼鏡が実に良い味を出しているかと。とても優しそうで素敵でした。それと、とにかく大事なんですね、今のパートナーが。
ちなみに結婚式のシーンであった密かなやりとりを見るに、ターニャとロージーは彼の「パートナー」について何やら賭をしていた模様です。（具体的には舞台見てください、ネタバレになるから……気付いて爆笑したけど、もしかしたらあれはアドリブだったのだろうか？＜アドリブじゃないようだぞ）
■ビル・オースティン（栗原英雄）
冒険エッセイストなわけですか、彼は。「僕は旅人だ、だからひとりで生きていこう」って、要するに純情なんだろうか……ロージー？ だから、まず逃げられませんでしょう。あの逃げ方から見て、押しに弱いぞこの手のタイプは。押し切られてそのまま行くこと間違いなし。て言うか、押し切られてたな思いっきり……
個人的に、ダンスパーティでソフィと話しながら踊っていた変なダンスがとても好きです。
しかしドナ、よくこんないい男ばっかり引っかけたなあ。こういう場合、男運が良いというのか悪いというのか、どっちでしょ？ もうひとつ、みんなタイプがかなり違うと思うんだけど、結局どういうのが好みだったんでしょ？
■スカイ（田邊真也）
爽やかな好青年なんですが……何て言うかその、このハイテンションな人ばかり出てくるミュージカルにおいて、一番テンション低かったのが彼という気がしまして。なんか、わーっと盛り上がる周囲に付いていけず、そのまま流されるタイプに見えたんですが。友人たちに言われるままに海に潜っちゃったりさあ。トロイのヘレンの首飾り……つっこめよ、なんでそんな縁起でもないものって……が、がんばれ若人……
えーと。まあ、可愛らしく見えて実はしっかりしているソフィとは、いいカップルでしょう。しかし、いくら愛が盛り上がってるからって戸外でいちゃつくのはやめるように、ね。
全体の感想としましては、まあとにかく「面白かったー！！」に尽きるのですが。本当に楽しかったぞ！カーテンコールで手拍子しすぎて手がどうにかなりそうになったけど！！
歌詞はやはりちょっと音節が苦しい（日本語訳詞は大変ですね）ところがちょいちょいありましたが、まあ問題なく聞けましたし（偉そう）。
舞台背景が綺麗な海の色で、いかにも「ギリシアの島」で素敵だし、場面転換が壁を動かすことによってなされているのがすごいかと。面白いですね。ついでに、家具の移動なんかは役者さんが歌いながらなさっておりました。お見事です。
ラストシーンも大きな月がめちゃくちゃ綺麗でした。この進む先には絶対幸せが待っている、と確信できる旅立ちでしたね。そう、幸せにも家族にもいろいろな形があるのよ……スカイ、覚悟して尻に敷かれたまへ。
とにかく、観てない人は一度は観よう！！と、劇団四季の回し者のようなことを叫ばせていただきます。て言うか、大阪へ来てくれ！！ 通うから！！ ああ……またひとつ金食い虫が………（でも良いの後悔しないわ……）
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