レ・ミゼラブル ２０１７年９月５日
フェスティバルホール 一階S席
ジャン・バルジャン：ヤン・ジュンモ
ファンティーヌ：知念里奈
マリウス：内藤大希
テナルディエ：KENTARO
アンジョルラス：上原理生
ジャヴェール：川口竜也
エポニーヌ：昆夏美
コゼット：清水綾香
マダム・テナルディエ：森公美子
ガブローシュ：島田裕仁
リトル・コゼット：禾本珠彩 リトル・エポニーヌ：鈴木陽菜 司教：中西勝之
工場長：伊藤俊彦 バマタボア：溝渕俊介 グランテール：丹宗立峰
フイイ：金子大介 コンブフェール：鎌田誠樹 クールフェラック：今井学
ジョリ：川島大典 プルヴェール：若松渓太 レーグル：深堀景介
バベ：町田慎之介 ブリジョン：松村曜生 クラクスー：石飛幸治
モンパルナス：大津裕哉 ファクトリーガール：森加織 買入屋：般若愛実
かつら屋：和田清香 マダム：本田育代 女（宿屋の女房）：瀧本瞳
女（身代わりの妻）：町屋美咲 女（病気の娼婦）：石田佳名子 女（鳩）：木南清香
女（あばずれ）：灰野優子 女（若い娼婦）：松本ほなみ
ああ……もう何度もなんども観ているのに、何で毎度こうも涙が出そうになるんだろ…。今回特に、ものすごく胸に迫るものがあった気がします。ああ、素晴らしい。
待ちに待ったレミゼでございます。いやあ楽しみだった！ そして本当に素晴らしかった！ お初のジャヴェールがものすっごく素敵だったー！！ あとアンジョルラスがとんでもなく格好良かった！！！
…ふう。あまり落ち着けそうにないのが申し訳ありませんが、とりあえずジャヴェールとアンジョルラスの圧倒的な格好よさだけは叫んでおきたかったのです。
■プロローグ
ジャヴェールすごく良い声！ 第一声で惚れた！
…初っ端からこんなんですみません。
ものすごく太い芯のある強い声で、かつ割と高めの響きのある感じが、自分の中の「ジャヴェールの声」にすごくぴったり来ました。
ジャヴェールって外国盤のCDなんかでは特にドスの効いた低音が多いので、一般的にはそっちのイメージが強いと思うのですが、私は一番観まくった頃のジャヴェール役者さんが揃ってものすごい美声のテノールだったせいか、割と高音のイメージなのです。はい、個人的事情ですみません。
で、出所して行くバルジャンを、密かにじっと見ていたんですね。バルジャンが気づいてしばらく睨み合うようにしていました。何だろう、服役中にすでに何かあったのでしょうか？ 何度か脱獄するたびに捕まえたのがジャヴェールだったとか？ ありそうだな。
そしてヤンさんのバルジャンは、以前観たときも思いましたが動揺すると呼吸が荒くなるのが良いですね。ちょくちょく四つん這いになってそれを出されるとまさに「野良犬」という感じで痛々しくて、観ていて辛いくらいです。
何より！ 司教様に許されたとき彼は号泣した！ ここではっきり泣くバルジャンは初めて観ました。司教様の、限りなく優しくも厳しい「銀の燭台を使って正しい人になりなさい」という言葉が、本当に彼の魂を根底から打ち崩すほどに揺さぶったんですね。このシーンですでに泣きそうになりました。素晴らしかった…！
■一日の終わり～夢破れて
んー、やっぱり新演出ではファンティーヌをかばったり慰めたりする同僚は誰もいないんですね。あ、今更何も言いませんが。
ところで以前ファンティーヌは工場を追い出された後、外したエプロンを力なく落としてから『夢破れて』を歌い出していたと思うのですが、追い出されるときに他の女性工員に取り上げられていましたね。これ、いつから変わったんでしょう…。
■ラブリィ・レイディ～ファンティーヌの逮捕
文章の短さで自分のファンティーヌに対する思い入れの薄さが露骨に分かってしまって何とも言えないわけですが。
まあ良いか、ここはジャヴェールが出てくるし。…すみません。
というわけで、警部格好良いです。相変わらずとても強い声で、何と言うか、冷徹かつ潔癖な印象です。心から犯罪者や落伍者が許せない、触れたくもない。自分がその世界のどん底を知っているからこそ、絶対にそちらへは行くまいと徹底的に自らを律してきたんだろうなあ。
他人に厳しく、そして誰よりも自分に厳しい雰囲気が、ものすごく好きです。
ファンティーヌがジャヴェールの足に縋りつかなかったためか、彼女に対するときは基本動かず、「まともな仕事に……」から二歩ほど見下ろしたまま近寄っていました。容赦なく足元に見下す感じですか、怖いわ。
で、いつになっても何でこんなところをほっつき歩いていたのか謎な市長様。ファンティーヌになじられ、「私がした……」「罪もないのに」と言う声が震えていて、すごく辛そう。と言うか泣きそう。
ヤンバルジャンはちょくちょくこんな感じになっていて、メンタル面がすごく脆い感があるのですが、特に「罪もないのに」がきっと突き刺さったんだろうなと思えました。このときコゼットを救うことを完全に自分の使命と思い決めちゃったんだろうなあ。
■馬車の暴走～バルジャンの独白～裁判所
川口ジャヴェールは市長殿を疑っている…かな、これは。
「そいつは仮出ご…」まで言って黙り、「市長、失礼を」と謝罪するところが、わざとなのかうっかりなのか分からなかったのですが。
なので確信はできないのですが、「そいつのことならよく知ってます」で振り返ってじっとバルジャンを見たり、ややわざとらしい感じに声が強くなったりする辺り、「揺さぶりをかけている」ような印象を受けました。
それと、裁判所でバルジャンが名乗り出たときあまり動揺しているように見えなかったので、やっぱり疑っていたのではないかな？と。すぐにそばの警官に「おい」と声をかけ、手錠を受け取って追いかけているんですね。……そいつも一緒に連れていけよ、とふたばが言っていました。確かに。だからふたりっきりで対決することになるんですよね…。でもって逃げられるんですよね…。
バルジャンの独白。激しく逡巡する様がすごく分かる、感情移入できるバルジャンですね。そして、荒かった呼吸が途中で落ち着き、しっかりした声になって裁判所へ乗り込んで行く悲壮さが素直に泣けます。ああ、私、新演出になってからバルジャンに共感できるようになったんだなあ…またひとつ大人になったってことかなあ…。
■ファンティーヌの死～対決
また泣きそうになっている市長様。
このバルジャンは非常に感情的と言うか、目の前の出来事に素直に揺さぶられる人、という感じです。悪く言えばやや衝動的で流されやすいのか。
自分でもそれは分かっていて、そのために罪を犯したのだということも理解していて、故に何とか強くあろうと常に必死で足掻いているバルジャン。うん、ヤンバルジャンの印象は一言で言うと「必死」ですね。…良い。
ジャヴェールが登場してもしばらくはファンティーヌの遺体を整えてやったりしていたのですが、そこから対決に入ると双方怒鳴り合いで何言ってるのかもよく分からない勢いでした。すごい迫力です。ジャヴェールは手錠の鎖を鞭のように床に叩きつけるし。怖！
…しかし、奪った鎖を拳に巻きつける市長様…あの、それ、完全に示威行為っつーか、脅迫ですよね。殴らなくてもそれだけで犯罪になるんじゃないのかな…まあ首絞めた時点ですでに言い訳の余地はないんですけど。
■宿屋の主人
罵り合っていた夫婦が客が入って来た瞬間そろって「いらっしゃ～い」なのが笑えます。いや、あんたたち夫婦、仲良しですよね？（笑）
亭主が客からがめて投げたものを、女房が見事にキャッチしていましたよね？ ものすごーく薄っぺらくてお調子者なテナルディエ、かな。で、その軽さ故に倫理とか道徳とかいったものも平気でへらへら乗り越えてしまうような、そうやって生きて来た人、という印象です。ある意味一番怖いかも。
マダムの方も、水汲みから戻って来たコゼットに「このクソガキが・・・！」と詰め寄ろうとして、一緒にいるバルジャンに気づいた瞬間別人のような声で「いらっしゃいませ」と言うのが素晴らしい。似たような感じに生きて来たんでしょうなあ。
■パリ
あああああアンジョルラス格好良い！！！
上原アンジョルラスって、確か2015年にも観たけど、確かにとても上手いし格好良いとは思ったけど、ここまで圧倒的なカリスマ感はなかった！ 歌もここまですごいとはあのときは思わなかったよーうわーうわー！ すごい、同じ役者さんでもこれだけ変わるものなんですね！
…はい。すごかったです。このシーンだけでも惚れました。ちょっと歌うだけでも凄まじい存在感です。こーれーは付いて行くわ！ ちょっと低めの声が力強くて迫力があってたまりません！ 素晴らしい！！
そしてエポニーヌ可愛い。
小柄で華奢で愛らしくて、マリウスの前では強がって蓮っ葉を気取るようにしているけどとても可憐で儚げな乙女ぶりがダダ漏れなのに相手が底抜けの鈍感なもので全く気づいてもらえないという不憫さがたまらん。…つーかマリウスよ、お前もう本当に何でも良いから一度その顔面に拳入れさせろ！（やめんか）
そのマリウスくんは、ジャヴェール警部登場後、「見ていた者は話せ私に」で手を上げて名乗り出、バルジャンたちを指して「彼が襲われたんです」と説明していた模様。お、ちゃんと役に立っているではないか。バルジャンはすぐに逃げちゃうけど。
そしてテナルディエ、にじり寄りながら「被害者なしなら帰って……良いよね？」とか相変わらずアドリブが素晴らしいです。で、ジャヴェールに睨まれ、ちょっと怯んでからさらに「誰が教えたかご存知でしょ…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい！」と元の場所へ逃げ戻っていましたお見事。すごい、これだけアドリブ入れるんだ！
でもってジャヴェール。「俺の名を聞いて逃げ出したのか」で手に持っていたチラシをはらりと落としたのが印象的。そんなにショックだったのか。
「ゴミを始末しろ、仕事に戻れ」でテナルディエ一味が追い散らされるとき、ガブローシュが一緒になって追い立てていて、ジャヴェールに睨まれて「おやすみムッシュ！」と言って逃げて行きました可愛い。ガブローシュ、可愛いなあ。
■スターズ
言葉にならない……！！！
すみません、一幕が終わった直後、拳握りしめて「かっこいい！ ジャヴェールかっこいい！」と叫んでしまいました。
自分で自分にドン引きですが、でも格好良かったんだもの！！ あああもう素晴らしいよー！
本当に真面目で潔癖で、とことん融通が利かなさそう。原作に確かジャヴェールは「非の打ち所のないものになろうとした」という記述があったけれど、まさにそういう感じです。好きだー！
この強くて高めの声、本当に良いなあ。
奥を向いて祈るとき、すっと跪くだけなのも好きだなー！
いや、本当に、色々と好みにドンピシャなジャヴェールでした。
格好良いなあ！！！（あほですみません…本当に……）
で、その直後にガブローシュに茶化されるのが完璧ですよね！
ガブローシュ、実に可愛いくて格好良くて素敵です。本当に街を仕切っていそうですな。
で、マリウス。
小柄なこともあってか、良くも悪くもものすごく子どもっぽい印象です。本当に純真に初恋に舞い上がっていて、それ故に残酷にエポニーヌを踏みにじって気づきもしない、あーいっぺん殴らせろ。エポニーヌは「ムッシュ、金などもらいたくないわ」でものすごくショックを受けて傷ついたような声を出しているのですが、それがどういうことかこのすっとこどっこいはさーっぱり分からないんでしょうなあだから一発殴らせろ！
■ABCカフェ～民衆の歌
いやー本当に素晴らしいカリスマアンジョルラスですね。
歌だけでカリスマを感じさせるところはかつての坂元アンジョルラスにも迫るかも！
ふたばが「他の学生たちが有象無象にしか見えない」と言っていますが、本当にそれくらい圧倒的な存在感です。
格好良いー！ 惚れるー！！
グランテールが「戦というのに恋が生まれたか」でアンジョルラスたちが集まっているテーブルに飛び乗って歌うのですが（ついでにちょっとよろけて落ちかけていた）、遊んでいる奴らの中へすっと出て来てグランテールが投げた酒瓶をぱっと手に取った瞬間空気が変わりました。一緒になってふざけていた奴らも、視線を向けられただけで反射的に「ごめんなさい！」と言いそうです。
で、マリウスの浮かれ演説はやや離れたところで一応聞いてはいる（後ろ姿だけでも華がある…すごい…）のですが、ちょっと本気でイラついている模様。「マリウス、分かるけれど」が説教口調に聞こえました。「そろそろ黙れ」と続きそうな。
「レッド、熱き血潮」で赤旗を掴んで銃をマリウスに押し付けた辺り、「こんなときに何を訳の分からないことで浮かれているんだ！」という感じですか。…うん、それが分からないのは君だけだからね？
しかしそれで空気を変えてしまえるのがカリスマなわけで。何だか本当にちょっと立っているところが違うように見えるリーダー様でした。
『民衆の歌』を歌い出したとき、「あ、これは本当に聞こえている人だ」と思いました。ラマルク将軍の死を伝えに来たガブローシュを抱え上げてテーブルから下ろしてやるところとかは、普通に優しそうなんですが。
学生たちのキャラはやっぱり未だによく分からなくて申し訳ない…コンブフェールとフイイは衣装憶えたんですが。
■プリュメ街
コゼット、冒頭の独白が可愛い。「私の人生が始まった、そんな感じ」で頷くのが、「そうそう、そうなのよ！」という感じでとても可愛い。こちらもマリウス同様、純真な少女の初恋浮かれっぷりが何とも微笑ましいです…エポニーヌがいなければね。あーもう本当に不憫…だからマリウス殴らせろ（しつこい）
テナルディエたちが去った後、殴られて倒れていたエポニーヌをコゼットが助け起こすわけですが、やっぱりここで彼女は何か気づいている・・・気がします。これは新演出版になってからだからやっぱり演出の変化ですかね。
■ワン・デイ・モア
素晴らしいーーーー！ 警部のお祈りが素敵です…あーでもあえて語ることはないわ、素晴らしい！！ 何度見てもあの赤旗にしびれますね。ここでまた泣きそうになりました。
■バリケードを築く
いや本当にアンジョルラスのカリスマ感すごいです！
この人に命令されたら「はい」しか言えなくなりそう。それを考えるとグランテールってすごいですね。これを目の当たりにしながら引きずられない（いやある意味誰よりも惹きつけられてはいるんですが）って只者じゃないよなこいつ。
そしてマリウスの分かってなさが実に犯罪的。エポニーヌ、いっそ一発平手打ちくらい入れてやっても良いと思うよ？
■プリュメ街～オン・マイ・オウン
入って来たエポニーヌに掴みかからんばかりの勢いで近付くバルジャンが怖いです。いや、うん、状況的に気持ちは分かるけど落ち着け。て言うかもしや、警察が踏み込んで来たら拳で撃退するつもりなのですかパパ…。
オン・マイ・オウン。ほんと泣ける。
「知ってる、夢みるだけ」から怒りが混じる感じでした。
多分彼女は、自分で描いた幸せな夢が幻であることを、初めから知っていながら縋っていたんじゃないかなと・・・あー泣ける。やっぱりマリウス殴らせろ！（だからしつこい）
■バリケードのジャヴェール
えっと、「俺たちは守るバリケード」から「来い、相手になるぞ」までの部分っていつから復活したんでしたっけ？ あれこれ前にもあった？ あれ？
そして「警告は嘘だ」が本当に聞こえてしまう罪深いカリスマリーダー様。いやー…格好良いなあ！
ジャヴェールが戻って来て嘘の報告を始めたとき、アンジョルラスは隣に座って話を聞いていました。そしてガブローシュの告発を聞いて真っ先に飛びつくリーダー。おおう。
そしてジャヴェールは「好きな時に撃て！」で押さえつける学生たちを引きずって前に出ていました。それに対するアンジョルラスが引かずに前に二歩ほど出たのが「よし！」と思った私をお許しください。いや、ここはやっぱり君は引いちゃダメだよねー！ とても強くて格好良いリーダーですよ素敵！
■恵みの雨
……（滂沱）
「これで……いいの」が泣けて泣けて！ マリウス貴様一生忘れんじゃねえぞー！
エポニーヌが運び去られた後、ガブローシュが彼女の帽子を拾ってマリウスに渡し、それからグランテールにぎゅっと抱きついたところで涙。やっぱり姉弟なんですかね？
アンジョルラスは、「彼女が最初」と言いながらジャヴェールを見た…のかな？ 何かあった気がするんですがよく分からず。
そしてマリウスのことはあまり気遣っていませんね。ほとんど側にも寄らず、攻撃が始まると座り込んでいるマリウスの目の前の床に銃床を叩きつけて「立て！」と言わんばかりに突きつけたのがちょっと怖かったです。き、厳しいですリーダー。そこまでやりますか。慰めるとか一切なしですか…。
■バルジャンとジャヴェール
対決再び！ ええもう学生なんかどうでも良いです！
バルジャンはここでジャヴェールをどうするか、寸前まで迷っていたように見えます。また息が荒いからなんですが、何かあったらここで殺す決断もあったのかも、と思ってしまいました。このシーンでここまで落ち着いていないバルジャンは初めて見たかも。
そしてジャヴェール。
縄を切られたとき、混乱しながらもとっさにバルジャンの手をバシッと叩いて払いのけたのが、「罪人の手で私に触るな！」という潔癖な感じで大変に…ゴホン。
ものすごく動揺して混乱しきっていて、ほどいたロープを鞭のように叩きつけたり（それ好きなのか？）、バルジャンの胸倉を両手で掴んで「殺せ今すぐ！」と詰め寄っています。
また対するバルジャンはバルジャンでその手首を掴み返してぐいぐい押し返す！
おおお！ 壁際に押しやられたところで手を離され、そのままの姿勢で硬直しているジャヴェールは、このときから完全にパニック状態になっていたのかなーと。いや、すごいシーンでした。
■ドリンク・ウィズ・ミー
アンジョルラス、マリウスに「少し休め」と言う声だけはすごく優しかったな…。さっきのは厳しすぎたって自分でも思ったのかな…。
グランテールはこれ、完全にみんなの神経を逆なでするためにわざと言っていますね。抗議して来た仲間に片っ端から突っかかって回り、振り返ったところに降りて来ていたアンジョルラスがいて、しばし睨み合い。グランテールの方が顔を逸らして離れて行きましたが、これだけ強気なグランテールというのもなかなかですね。
■彼を帰して
おおおおおおおお（涙）
足元で眠るマリウスに手を差し伸べて歌い出すバルジャンが泣ける…！ ヤンバルジャンは本当に常に迷い続けているような印象があるのですが、このとき彼は何としてもこの青年を助けよう（コゼットのために）と決意したのかなあ。
彼の場合、コゼットの存在が自分の救いなので、「コゼットのため」は最終的に「自分のため」なわけですが、そのエゴにも多分自覚はある…という気がします。他にも同じような若者たちは大勢いるのに、そんな利己的で身勝手な理由で彼だけを助けようとしているんだと、ちゃんと分かっているブリング・ヒム・ホームでした。泣けるわー！
■最後の戦い
ううっ、展開知ってても辛いですよね本当に…！
ガブローシュが死んだとき、アンジョルラスがその遺体を抱きとめて下にいるグランテールに渡すわけですが、その後しばらく彼はそのために膝をついた姿勢のまま俯いていました。エポニーヌが死んだときはさほどショックを受けたようには見えないんですが、このときはものすごく愕然としているっぽい…がしかし、おい、その姿グランテール以外には見せるなよ！ リーダーって辛いね。
そしてグランテールはアンジョルラスの最後の声「世界に自由を！」を聞きながら、そちらを見ずにガブローシュの遺体を整えてあげているのですね。うわああああ。
で、だ。
ええとこれどう理解して良いのかまだよく分からないんですれどね？ マリウスが撃たれ、駆け寄ったアンジョルラスに、グランテールが何か言おうとしていたのは以前も見たと思うのですがその後ですよ。
アンジョルラス…グランテールの頰に両手を添えて、それからバリケードを駆け上ったのは一体何だったんだおい…！？
「分かっているから、言わなくて良い」なのかな？ だとしたらグランテールが言おうとしたことって何？ 以前観たときは、「これがお前のしてきたことの結果だぞ」かなと思ったんですけど、それに対して頰に…！？ ねえ何なのそれ！！
くそう、泣けるシーンなのにそれどころじゃなくなるネタをブッ込んできやがって！ このふたりは…！（それが結論で良いのか）
バリケード陥落後、瀕死のマリウスを連れて逃げようとするバルジャンが、下水道に逃げ込む寸前に振り返って、倒れている青年たちをすごく辛そうに見ていたのがとても印象的でした。ああ、ちゃんと「助けられるものならみんな助けたい」と思ってくれているんですね！ くぅっ…！
そして直後に駆け込んでくる警部殿。
この時点でもう完全にパニック状態だったように見えます。何とか脱出して、混乱しながらも制服に着替えていつもの自分を取り戻そうとして仕事に戻って、でもできなくて、バルジャンを見つけて彼に殺されればこの異常が修正できるはずだからと必死に彼を探しているような…いや落ち着けどこから妄想スイッチが入ったんだ私。
でも、「バルジャーン！」が叫ぶというより吠えている声で、明らかに正気を失っている様子だった……うおおおおお。
■下水道
テナルディエは軽いというより「空っぽ」なイメージに見えました。空っぽだから何でも入るんだけど、軽くていくらでも楽な方へ転がるうちにろくでもないものばかり流れ込んできてこうなった、みたいな。すごくおぞましいものをいくらでも吸いこんでいきそうな空虚。怖いなあ。
必死なバルジャンが泣けます。ヤンバルジャンは常に一生懸命な感じが良いですね！ ジャヴェールと遭遇したとき、座り込んでいましたし。
■ジャヴェールの自殺
やはりパニック状態の警部殿。ピストル握る手もグラグラしているように見えますよ。
そして「譲れ」と詰め寄られてとっさに顔を背けてしまう！ ジャヴェールなら絶対にあり得ないことをここで既にしてしまっているんですね。
パニックのまま「すぐ行くのだ」と言ってしまい、最後に「あるべき自分」に縋るように「２４６５３」と呼んだんじゃないかなうわああ…！
そこからもう足もガクガクですよ。頭を抱えて絶叫しそうなくらい混乱しきっている様子が見ていて痛々しいです。
何だか「バルジャンを行かせてしまった」ことよりも、「自分が激しく動揺している」ことに対して困惑し混乱しているように思えました。「疑いを知らぬ俺が何故迷う」がパニックの根源という感じですかね。
自分は不動であるはずだったのに、迷うなんて有り得ないのに、どうして心が震えるのだ、と。
非の打ち所のないものになりたかった、そう願って己を律してきた、そうなれたはずだった、ずっとそう信じて生きてきた、けれどそうではなかった…またもどこから自分の妄想かがよく分かりませんがそんな感じです。
バルジャンそのものよりも彼によって揺さぶられた自分から逃れるために自殺するのがジャヴェールだと思うと、すごく納得であります。しかし普通の人はそこから一直線に「もう駄目だ死のう」とはならんものなので、やっぱりこの人は（略）
…良いんだ！ そういうところが好きなんですよー警部殿ー！ うわーん！
いや妄想はともかく、すごい迫力だったんですよ…！ 内心ぐちゃぐちゃになっているのがガンガン伝わってくる！ 更に「星も見えない…」からふーっと何もかも抜け落ちたような虚ろな声になって、ここで限界が来て完全に壊れた感じでもう！
えー…すみません、冷徹で潔癖な普段の様子、強い芯のあるやや高めの声、崩れるときのギャップと、大変に好みなジャヴェールであらせられたもので、興奮状態がおさまりません…。
素晴らしい。素晴らしい…！！
■カフェソング
だからマリウス、気持ちは分かるけどコゼットの胸に縋り付くのはよそうぜちょっと笑える…じゃない情けないから。まあマリウスだから良いけど。
バリケードでは元気だったバルジャンがここでは何か一気に老け込んだようによろよろになっていて、マリウス貴様若い者が杖代わりになるくらいのことはやらんかい！と思えてしまいます。いやマリウスもまだ全快していない怪我人なんですが、こっちよりも今にも倒れそうなんですよ。更に言うなら、コゼットの前ではしっかり立っているのに、彼女が去った後一気に力が抜けたようになったんですよね！ 娘の前では完璧なパパでありたいんですね…泣ける！
■結婚式
マダム、ウェディングケーキをつまみ食いして、非難の声に「おいしい！」。そしてオカマの紳士を捕まえてキスするテナルディエ。あんたはそれで良いのか。ほんとやりたい放題でいいわーこの夫婦。
マリウスにとって「神の報せ」を持ってきてくれるのがよりにもよってこいつというのが原作以来何ともアレなわけですが（笑）、ここの最後のところの歌詞は「神様と地獄で」の方が良いと思うんだけどなーと関係ないことを呟いてみる。
■エピローグ
そうだったヤンバルジャンはここで本当に今にも事切れそうに見えるんだ……（既に涙）
「夢にはコゼット来て……」で小さく笑うのが本当にもう！！ 泣けるバルジャンですね！！
…えっファンティーヌ髪長い！？ あれっ、これって前からそうでしたっけ？ あれー？
それはともかく、とても言いづらそうに「最後の告白を書いた」と言うバルジャンにまた泣ける。「私は父じゃない」という言葉をどんな思いで口にしたのかと思うと！
そして司教様が抱きしめてくれるところで涙腺決壊必至！ですよね！！ ここは本当に、泣くしかないです…！
■カーテンコール
ガブローシュがリトルコゼットとエポニーヌの手を引いて出てくるのが可愛すぎる！！ 三人揃ってぴょんって方向転換するところとかたまらん！ おにいちゃんだー！ …本当は弟なんですけどね。あーかわいい。
そしてアンジョルラスがガブローシュを高い高いしている！ 何それ可愛い！ さらに二度目に同じように駆け寄って来たガブローシュを、何故かかわしてスルーするアンジョルラス！ なんでだ！
あ、ジャヴェール様には思いっきりブラヴォー叫んでおきました、もちろんでございます。
前の席の方が立ったので、私も立たせていただきました。そりゃ立つよね！ これだけ感動させていただいたらね！ 一階席はほとんどが最終的にスタンディングしていたと思います。いやあ素晴らしい舞台でした。
とにかく初見のジャヴェールが素晴らしくて、バルジャンも好みで大満足です！
あとアンジョルラスが実に格好良い！ このカリスマっぷりは本当にすごいですよ！
実に堪能させていただきました。楽しかったです。やっぱりレミゼは良いわー。
お読みいただきありがとうございました。
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