レ・ミゼラブル ２００７年８月２１日（水）夜公演１８：１５〜
帝国劇場 一階Ｓ席
ジャン・バルジャン：橋本さとし
エポニーヌ：知念里奈
コゼット：富田麻帆
テナルディエ：三谷六九
アンジョルラス：坂元健児ジャヴェール：石川禅
ファンティーヌ：山崎直子
マリウス：藤岡正明
テナルディエの妻：瀬戸内美八
ガブローシュ：横田剛基グランテール：松村曜生
ジョリ：中本吉成
フイイ：石井一彰
バベ：櫻井太郎
プルベール：上野聖太
クラクスー：五大輝一
マテロット：清水彩花
ジベロット：歌納有里
少年１：穂積由香
かつら屋：亜久里夏代クールフェラック：清水裕明
コンブフェール：菊地まさはる
レーグル：中井智彦
ブリジョン：藤田光之
モンパルナス：田中裕悟
買入れ屋：わたりあずさ
ファクトリーガール：藤咲みどり
マダム：井上珠美
少年２：吉岡里奈
お初バルジャン！ とりあえず橋本バルジャン目当ての回です。
キャスト感想です。敬称略で。
■ジャン・バルジャン：橋本さとし
第一印象、なにその帽子？
そして、「俺はジャン・バルジャン！」で取った後は、何そのキリストみたいな頭！？
この方だけなのでしょうか。囚人時代、帽子を被っておいででした。
そしてやけに髪が長いですね。それにぼわっと広がっています。市長時代以降も髪は長め。かなり細面な方なので髪の毛でボリューム出してるんじゃないかとふたばが言っていました。
そして、激しい。石井バルジャンなどは「熱い」という感じですが、橋本バルジャンは「激しい」です。非常な激情家に思えます。
ジャヴェールの前に連れてこられたとき、その足下に四つんばいになった彼は、「盗人」と言われて「パンひとつだ！」と言い返すときに立ち上がったのでした。ジャヴェールに掴みかからんばかりの勢いで。しかしさすがにジャヴェールは全く動じませんでしたが、いや、のっけから激しい激しい。
その後も激しい。司教様が消えるなり座り込み、「２０年前に〜」で立ち上がるまで座って歌ってました。「どうして許せよう」では胸の前で手を組み、「俺の人生！」は完全絶叫と、激しい動きが非常にいいです。
独白もものすごく迷ってます。ちょっとなにかの一押しがあればあのままバックレる決断もあり得たのではないかと思ってしまいました。いいですね！
さらに対決、警棒を振り上げた警部殿の腕を、いきなり掴んでひねり上げた。おーい市長様！ さらに思いっきりジャヴェールを指差して「刺し殺しても俺はやるぞ！」 おい、落ち着け！ この人の場合、カッとなったらなんだか本気で殺しそうで怖いです。衝動殺人やるタイプだぞこの市長！
「彼を帰して」も、「死ぬなら私を！」と叫ぶなど、年取っても激しい。
戦闘中、「任せろ、俺が行く」で返事も聞かずに飛び出そうとするなど、やっぱり激しい…というか衝動的に生きてるなお前！ ある意味新鮮なバルジャンです。
「またも職務の奴隷か！」も思いっきり叫んでいました。普段かなり「ふざけんな」と思う台詞なのですが、あまりに必死な様子に逆に反感を覚えなかったという一面もありましたが。でも、このバルジャンなら、もしあくまでも通せんぼしようとされてたら絶対突き飛ばして通ってると思う……。
ジャヴェールの最後の「２４６５３」に、振り返って頭を振ったのがなんとも。やっぱり最後まで分かり合えないふたりなのね……分かり合えたらレ・ミゼラブルじゃないけどね……。
激しいバルジャンは愛情表現も激しいようです。マリウスに縋り付くようにして「約束を…！」、去る前に抱き締めて行かれました。
ラストシーン、何だか司教様のような髪型になっておいででした。やっぱり最後まで髪は長いようです。なかなか美しい。
そしてカーテンコールにて、妙に明るいキャラクターを披露なさってくださいました。
とても楽しそうにジャヴェールを引っ張ってスキップし、出る度にやたら軽やかな足取りで走っておいでになり、最後にはひとり残って優雅に礼。面白い……。
■ジャヴェール：石川禅
怖いですね！ かなり迫力あってかっこいいです。
そして怒るとものすごく怖そうです。部下には恐れられていそうですが、同時にとても尊敬されている上司という感じ。
椅子の脚をかまえるバルジャンに対しても身構えずそのままの姿勢で立っているなど、なんだか余裕ありげで強そうです。ああ、ここにも「何故負ける？」ジャヴェールが……（禁句）
スラムにて、ひざまづかせたテナルディエを真上から見下ろして「泳がせておいて捕まえてやる」ここで襟足を掴み上げてさらに思いっきり突き飛ばし、「ゴミを始末しろ！」……怖え〜〜！！ 警部殿、乱暴ですわよ！！
スターズはほとんど動かず。いいです。かっこいいです。お祈りの手は腹の前、まあ普通ですね。それから、最後の「誓う、俺は〜！」のときの拳をそれほど高く振り上げず、肩の高さでぐっと握る感じで、静かな決意が素敵です。
バリケードでもあまり動きません。砲撃が始まっても頭を下げない人ですね。よしよしかっこいいですよ！
で、バルジャンとのやりとりでかなり激しかったのが印象的でした。バルジャンに背を向けて「貴様は盗人……」、そのまま本当に自分ののど頸掻き切りそうな勢いで「殺せ今すぐ！」、最後も走り去るし。
そして自殺のときもあまり動きませんでした。頭の中で「何故？」が渦巻いてパニック状態になっている感じ……でしょうか？
「星さえ凍る……」のあたり、目を見開いていてかなり怖いです。飛び込み寸前笑わなかったのが個人的にポイント高いですが、笑わないけど静かに狂いかけているような雰囲気でとても素敵でした。ああ、惚れ惚れ。
■ファンティーヌ：山崎直子
細いですね！ 何とも痛々しいです。というか、軽く蹴ったら折れそうな女だな……（蹴ろうとしない）
こんな彼女を後ろから抱きすくめようとしていた工場長を蹴り倒し、自分が取って代わりたいと思っている男性は結構いると思うのですが。
■エポニーヌ：知念里奈
はすっぱっぽい感じのちょっとハスキーな声が可愛らしいです。かなり可愛い感じでしたね。
マリウスに、「君のおかげだよ！」と抱き締められて、すごく嬉しそうな顔をしていたのですよ。えー、その男はこのあと他の娘のところに突撃しようとしてるのよ？ それでも喜べるの？ 一途だなあ…（涙）
オン・マイ・オウン、最初に帽子を取って、握りしめながら歌うのが印象的でした。やっぱり泣けるわ、エポニーヌ……！
■マリウス：藤岡正明
長髪を束ねてる髪型がやたら可愛いです。
藤岡マリウスは、エポニーヌの「あたしも読めるわ」にちょっと笑って、開いて見せて説明してあげようとするんですね。で、全く本を見ていないエポニーヌ（本当に全く見てませんでした）が「その髪好きだわ」なんて全然関係ないことを言い出したため、ちょっとカチンと来て「何だよ、ふざけて」が怒った口調になるんですね。なるほど。
……可愛いやり取りだなあ！（笑） すごく微笑ましかったぞ若人たちよ！
エポニーヌを看取った後、フラフラとついていこうとしてアンジョルラスに止められるのはいつも通り。座らされたときのへたり込みようが可愛いですね。
カフェソング。藤岡マリウスは歌が上手くて良いですね。でも情けないところがさらによろしいかと思います。バルジャンが告白をして去っていった後、まだ追いかけようとしているところなどますます可愛らしいと思います。
でも「出てけ、テナルディエ」がものすごく軽蔑した言い方なのね。あのギャップは、普段がヘタレてて可愛い分結構怖いかもです。
■アンジョルラス：坂元健児
すごい声ですなあ！ 何度聞いてもこの人の声量はとんでもないですわー！ 歌だけでカリスマ表現できるのは、これまで見た中でこの方だけだと思います。
黒ネクタイ、腕まくりなし。…赤タイと腕まくり、黒タイと袖ボタンきっちりは、セットなのでしょうか？（多分違う）
坂元アンジョルラスは比較的マリウスに（と言うより、誰に対しても）優しいです。ひとり遅刻した上に空気読まずに浮かれたことで盛り上がってるアホにも、肩を叩くなど割と相手をしてあげています。まあ話は全く聞いていないようでしたが。
でも、話は聞いてないけど、「なんだか知らないけど仕方ないな」という感じに腕組みをしてから立ち上がるなど、ある程度はマリウスが浮かれたい気持ちを理解してあげているようです。でもまあその内容自体は完全無視ですが。
ぱっと立ち上がって「前進するときだ」と言った辺りから、完全にマリウスに対する説教ではなくみんなに対する演説になっていますね。また声がすごいから強烈に引っ張られます。素敵。
でも、みんなの肩を叩いて回るなどスキンシップが多く、いい人っぽいですね。坂元アンジョルラスって、もしもごく普通の学生として生きていたとしても、普通に友達多そうですよね。（私はアンジョルラスというキャラクターをなんだと思っているのでしょう）
しかしそれにしても、あの声で「警告は嘘だ」は罪深いですね…。だって本当に説得力があるんですよ！ 本当に「そうだ、市民は立ち上がるぞ！」という気持ちになっちゃうんですよ！ あれは怖いよ！
エポニーヌの死後、フラフラついていこうとしたマリウスを引き止めて座らせ、横に膝をついていました。声をかけてはいなかったようですが、見守っている感じでしょうか。ほう。…まあ、このシーンの彼は、どんなに優しくしてても直後にバルジャンが来た瞬間ぱっと切り替えちゃうんですがね。いいんだ、それでこそアンジョルラスだ。
ドリンク・ウィズ・ミー。これはちょっと面白かった。降りてきてグランテールをじっと見下ろしていたアンジョルラスは、レーグルからもらったお酒を飲んだ後、グランテールが差し出した酒瓶をぐっと押し返して（わざわざしゃがみこんでまで）、それからさっと上へ戻っていったのでした。
……ほぉおおおお！ な、何かいい！！ アンジョルラスの方が余裕のない感じ（いろんな気持ちがない交ぜになって、それを上手く表現できなくて結局一見邪険な態度を取った、みたいな感じに見えたのですよ）がいい！ 坂元アンジョルラスは面白いなあ！
死ぬときグランテールとほとんど絡まなかったのはちょっと意外でしたが。すっと横をすり抜けていってしまったので、正直「あれっ！？」でした。なにを期待していたやら。
カフェソングでは、腕を組んだアンジョルラスの肩にグランテールが手を置いていました。
■テナルディエ夫妻：三谷六九夫＆瀬戸内美八妻
わざと胸触らせるマダムは相変わらずでよろしいです。さわりたそうにしている客もいるんだからお互い様でしょう。
それにしても三谷テナルディエはパリに来るまでに一体何があってあそこまで突き抜けたんですかね……首に引っかけた伝票振り回しておどけてた人はどこ行ったんでしょう。死体を蹴り転がして背中踏んで歩く姿は本気で背筋が冷たくなるんですが。素敵だ。
■その他
コンブフェールが眼鏡じゃない……（そこか）。しかし菊地コンブ、なかなかの熱血で素敵でした。
グランテール、やはりマリウスの「死んでも良いさ……」が相当嫌らしく、ものすごい勢いで離れてしまいます。彼的にあの台詞は許せないのでしょうか。愛する人と一緒に死ぬために来たのは良くて、彼女がいなくなるんだからどうでもいいやは許せないのでしょうか。うーん。微妙だと思うのですが…。
クールフェラック。ガブローシュの投げた鞄（ちゃんと受け取ってた）を差し上げて「後に続けよ！」。すごく悲愴で泣けました。
あああ、やっぱりレミゼはいい……！
激しい橋本バルジャンはかっこよかったです。ああいうのもありかー。本当に、いろいろあるものなんですね。
以上、お読みいただきありがとうございました。
>>BACK