レ・ミゼラブル　２００７年６月２７日（水）昼公演１３：００〜
帝国劇場１階Ｓ席

ジャン・バルジャン エポニーヌ コゼット テナルディエ アンジョルラス

別所哲也 笹本玲奈 富田麻帆 三谷六九 原田優一

ジャベール ファンティーヌ マリウス テナルディエ夫人 グランテール

石川禅 今井麻緒子 山崎育三郎 田中利花 松村曜生

クールフェラック コンブフェール レーグル ブリジョン モンパルナス 買い入れ屋 ファクトリーガール マダム 少年２

麻田キョウヤ 近藤大介 港幸樹 佐嶋宣美 田中裕悟 荒井小夜子 藤咲みどり 井上珠美 稲田みづ紀

ジョリ フイイ バベ プルベール クアクスー マテロット ジベロット 少年１ かつら屋

横田裕市 石井一彰 丹宗立峰 上野聖太 五大輝一 清水彩花 深野琴美 岡村さやか 亜久里夏代

　お初ジャヴェールおよびお初アンジョルラスを観に行った回。

　キャスト感想でいきます。（敬称略）


■ジャン・バルジャン：別所哲也
　初期の世間を憎みまくってる様子がなかなか怖かったです。地面に拳打ち付けてたし。「何よりのものを……」でびくっとして逃げるそぶりが本当に野良犬みたいだったし。
　そして、銀の燭台を入れた鞄を、なにか恐ろしいもののように投げ出したのがぐっときました。泣けるぜ。振り上げた拳をぶるぶる震わせながら、自分で抑えつけるんですね。くっ、たまらんぜ！
　正直、バルジャンはこのシーンの演技がよければ割と後は納得してしまえるので（それもどうなんだ）、とても嬉しいですｖ
　でも、別所バルジャン、以前見たときとずいぶん変わっておられますね。前はこんなに激しくなかったと記憶しております。
　素敵でしたｖ


■ジャヴェール：石川禅
　非常に真面目ーな警察官、という感じでした。バルジャンの「パンひとつだ！」にカチンときたように振り向いたり。「言い訳する気か！？」みたいな感じで。まあ、実際あの時点でバルジャンは反省してないので、無理もないですよね。
　考えてみればジャヴェールが知ってるジャン・バルジャンというのは脱獄の常習犯（つまり反省の色も更正の意志もなし）なわけですし。そのあげくようやく仮出獄というときになってこの台詞、「こいつは駄目だ」と思っても仕方がないのでは？　「お前みたいな奴〜」という台詞はこの辺から来てますよね。それに実際、バルジャンは最後まであまり反省してない（「パンをひとつ盗んで牢獄に十九年」……脱獄を繰り返してそれだけ刑期が延びたと言うことは忘れたらしい）ようなので、どうしてもジャヴェールの味方をしてしまうのでした。単にファンだからだけじゃないんだと延々言い訳。
　対決も、あくまでも真面目。なので会話の噛み合わなさ…というか会話になってなさが際立っていて笑えます。（笑うな）
　スラムにて、テナルディエの後ろ襟を掴みあげ（「猫づかみ」ってやつですか）、思いっきり睨みつけつつ「泳がせておいて……」、さらに仕上げとばかりに突き飛ばす警部殿。怖いよ。
　そして、彼は証言しようとしたマリウスにちゃんと気付いていますね。テナルディエがごちゃごちゃ言い出したもので、「ちょっと待っててくれ」というように抑える仕草をしていました。
　で、その間にバルジャンが逃げ、さらにそれを追っかけてマリウスも消える、と。（笑）　証人が消えたことについては全然気にしてないらしい警部殿は、いつ見ても如何なものかと思います。
　スターズ。
　「スター、星たちは…」と歌いながら、ちょっと笑いながら歩いてました。ほう。お祈りポーズはお腹の前で手を組む。普通ですね。
　そして、最後の「誓う、俺は〜！」で手を振り上げず、拳をぎゅっと握っただけなのが印象的。ここは動かない方がかっこいいよねと個人的に思う。（趣味です）
　バリケード。
　戦いの間、彼は逃げようとしていません。ここは縄をほどこうと奮闘する人としない人がいるんですねえ…。石川ジャヴェールは、ずっとバル ジャンを見ていました。こういうことを書いているのはもちろん私がアンジョルラスも他の学生ズもそっちのけでジャヴェールを見ていたからですが。
　そしてそして対決。
　「やるのはナイフか」で引きつったような笑い声を上げるジャヴェール、本気で理解していないようです。うん、ジャヴェールはそうでないと。（また……）
　戻ってきた後、座ってお祈りはしていない…ですね。やっぱりあれは今ジャベだけの演技ですか。
　そして、自殺。
　「慈悲を求めるか」で大股に前に出る動きが印象的でした。おお、ぐらついてるぐらついてる！　「２，４，６、５，３」を言いにちょっと 戻ってくるあたりもかなり錯乱してますよ。
　何となく、自分でも自分がどうして混乱しているのか分からなくて、でも頭の中は無茶苦茶になってて、その混乱の勢いのままフラフラッと飛び込んでしまったような感じに見えました。笑ってもいませんでしたし。最後の声が、本当にすごかったです。


■ファンティーヌ：今井麻緒子
　追い出された後、工場長にすがりに行かないファンティーヌは初めて見た気が。この時点ですでに全てを諦めたようになってますね。
　『夢破れて』で、「待ち続けてるわ…」のとき立ったままだったファンティーヌも初めてな気が。ほう……。
　ジャヴェールにすがりつくのは膝でした。そして、警部殿はすっと横に動くという冷ややかな動きで避けてしまい、そのまま倒れ込んでいました。哀れだったぞ、あれは。


■マリウス：山崎育三
　「この本は君の〜」で、本を開いてエポニーヌに見せて、「ね、こんなこと知ってたかい？」みたいに説明してあげてるマリウス……！　「何だよ、ふざけて」も笑ってる。
　お兄ちゃんだ。このマリウスのエポニーヌに対する自己認識は、間違いなく「お兄ちゃん」だ！　可愛がってるよ！（好感度高し）　うん、山崎マリウスは普通にエポニーヌを好きそうです。よしよし。（何様か）
　そして、子どもっぽい行動多し。ジャヴェールに証言しようとしてたくせにコゼットがいなくなったことに気付いたとたん晴らしい速度で走っていったり、説教してるアンジョルラスに抱きつくような勢いで両肘掴みにかかり、クールに押し返されたり、「君のおかげだよ！」で思い切りエポニーヌを抱き締めたり、まあマリウスなので間違ってはいませんが。可愛いですが。
　エポニーヌの死のシーンでは、ちゃんと助けを呼ぼうとしていますね。よろしい。思いっきり抱き締めてたしな。そして、彼女の遺体が運び去られた後、そのままその場に泣き崩れました。まあ、バルジャンが来たらすぐに立ちましたが。
　…バリケードを飛び出そうとしたとき、止めようとしたアンジョルラスと勢いで抱き合うような姿勢になったのは、事故だと信じています。（笑）
　バルジャンの告白は、ずっと彼の方を見て聴いています。割と早くに悟ったようです。ふむ。テナルディエの服掴んで「出てけ！」と怒鳴ったり、けっこう腹の据わったところもあるのかな？
　…ところで、『彼を帰して』のとき、マリウスが仰向け＋片膝立てで寝てるのはそういう演出になったってわけじゃないですよね？　あんな状況でああも堂 々とくつろいだ姿勢で寝られると、非常に違和感があるのですが……。


■エポニーヌ：笹本玲
　……あの、お嬢さん？　あなた、モンパルナスに肘鉄食らわすのみならず、ツバ吐きかけてませんでしたか？　好みじゃないのかもしれんが（ま、あんなサイコパス的犯罪者、好みであってたまるかという気もするが）、何もそこまでしなくても…。
　それにしても、可愛いなあ。ちなみに休憩時間、近くで「コゼットより上手いねー」という声が聞こえました。そりゃまあ、当然だとは思いますが。
　『オン・マイ・オウン』でほとんど笑わず、無表情に「愛してる、愛してる、愛してる…」と悲愴に繰り返した後、死ぬ直前に微笑むのがもう滂沱の涙を誘わずにいられようかいやいられない。やっぱりエポニーヌはいいなあ……。


■アンジョルラス：原田優一
　第一印象、なにその頭……。
　いや、その、巻き毛っていうんですか？　えらくくりんくりんに癖のついた髪で、ええ、なんというか新しいですね。
　そして、第二印象、無表情。
　綺麗なお顔立ちなのですが、とにかく無表情。常に生真面目に真っ正面だけ見ていそうな雰囲気です。どうも、仲間の誰ともあまり仲がよくなさそうに見えたのですが（だって誰に対しても本当に無表情…）、そのぶん群衆に埋没しないカリスマ性はありそうでした。あ、そう言えば赤タイでしたね。
　声は若々しくてなかなかいい声ですね。かっこいいです。うんうん。
　演技は本当にくそ真面目な理想家っぽいです。「今が決断をするときだ〜」の後、マリウスのほうを見もせずにさっさと座ってしまったため、横まで回って一生懸命話しかけようとするマリウスがとても可哀想でした。（笑）　酷いよ冷たいよリーダー。まあ、説教は顔見てしてましたがね。
　それに、歌はみんなの顔を順々に見回しながら歌っていてリーダーらしいです。しかしやはりみんなの顔を平等に見ているので、特定の誰かと特に仲が良いというようなことはなさそうです。
　バリケードを築くとき、茶化すグランテールをわざわざ戻ってきて睨んでたところぐらいですかね、他の学生と積極的に絡むの。
　そのグランテールとも、エポニーヌの死のシーンではマリウスとエポニーヌの方をじーっと無表情に見ているだけで振り向きもしなかったし、共に飲もうでもただひたすらじーっと見下ろしてるだけで、グランテールが目を逸らしたのを合図みたいにさっさと行っちゃったし……うう、クールというのではないだろうけど、人間味のあまり感じられないアンジョルラスでした。
　うん、これを極めるとまさに「革命の大天使」なアンジョルラスになるんじゃないでしょうか。おお、それは見てみたいぞ。まだ不慣れでガチガチな演技しか出来てないとかいう解釈もありだけど。
　…なので、マリウスが撃たれたとき、飛び降りてきて駆け寄ったのが逆にちょっと違和感。その後グランテールと睨み合い、「畜生！」というように地団駄を踏む仕草をしてからバリケードを駆け上ったのも。彼が感情らしいものをはっきりと見せたのは本当にあのときだけだったように思います。
　空の椅子とテーブルで出てきたときもグランテールとちょっと顔を見合わせただけだったし。

　しかし、結婚式の給仕さんは、給仕長と髪の毛を整えてあげたりふたりで何だかつつき合ったりあげくは某引っ越し会社のＣＭ（最近見ないな…しかも関西の人にしか分からないネタだ…）のように腹をぶつけ合ったりしてじゃれていたのが非常に気になりました。
　さらに、カーテンコールでジャヴェールをエスコートして出てきたのがものすごく気になりました……あの、ひょっとして、面白い人ですか……？


■テナルディエ夫妻：三谷六九＆田中利花
　バルジャンが去った次の瞬間から喧嘩を始めるおしどり夫婦（笑）。「あんたがぼんやりしてるからだよ！」みたいな声が聞こえました。うん、ほんと、もっと搾り取ってやってもよかったと思うけどな。
　テナルディエはやっぱり下水道でのキレっぷりがいいです。何があったんだろう、あの突き抜け方。あれは真剣に惚れそうになりました。（たまもは趣味が歪んでいます）
　カーテンコール、マダムが礼をする他の出演者をよそに、その後ろで華麗なる回転を見せていたのが素敵でした。実は私、レミゼでコスプレするなら絶対結婚式のマダムだよなとかなり真剣に思ってます、実際には出来ませんけどね……。（やめなさい）


■アンサンブル
　コンブフェール…というか工場長。セクハラの全貌が明らかに。
　手紙でファンティーヌを胸からなで下ろすようにさわり、さらにその手紙を自分の、ええとそのなんだ、女の子の口からは言えないような部分に……殴れ、殴って良いぞファンティーヌ！　で、睨んでいる元愛人に気付いてやめたようです。この男……！
　そして、宿屋では女の子にダンスを教えてもらっています。えらく可愛かったです。

　グランテール。エポニーヌの死後、椅子に座ってしまうのですが、「彼女が最初……」という台詞を聞いて椅子ごと背中を向けてしまいました。おお、すごく分かりやすい態度。



　ひたすら真面目な仕事人っぽいジャヴェールが好きです。石川ジャヴェール、「自殺のときに笑わなかった」一点で私の中でポイント高し。すみません、激しく身勝手な上偏っています。
　お初アンジョルラスは……今後変わるのかな、やっぱり。でも、あのとことん無表情で理想のためなら平然となんでもやりそうなところ、結構よかったなー。彼もポイント高いです。

　以上、お読みいただきありがとうございました。


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