エリザベート ２００１年８月３０日（木）昼公演１３：００〜
梅田コマ劇場 三階Ｂ席
エリザベート
トート
皇太后ゾフィー
マックス公爵：一路真輝
：山口祐一郎
：初風諄
：寺泉憲フランツ＝ヨーゼフ
皇太子ルドルフ
ルイジ＝ルキーニ
エルマー＝バチャニー：鈴木綜馬
：井上芳雄
：高嶋政弘
：今拓哉
やたらと人気があるらしいエリザベート（すみませんよく知らないのです）。
一回くらい見たいねーという軽い気持ちで友人に取ってもらったチケットですが、こんなに凄まじいとは思わなかった……。
まず劇場前でものすごくコワイ思いをしました。
友人を待っているときに、なんだか待ち合わせではない様子の女性が多いなぁ、と考えつつ、ふと「そういや何時に開演やったかな」とチケットを出して確認しようとしたその途端！
ざしゃあっと数人の女性が寄ってきて、「チケット余ってるんですか！？」と迫ってきたのです。慌ててチケットをなおし「違います」と言いましたが、皆さん思い詰めたような顔をして目は血走っており、非常に怖かったです。
いや、実は一瞬「幾ら出しますか？」とか言いそうになったけどね…。一万円くらいだったら売ったかも（＜外道。冗談です冗談！）。
こういう光景は普通のことなのでしょーか？
なにせ所詮はミュージカルを見始めて一年あまりの俄ファンな上、かなり限られた演目しか見に行っていないのでよく知らないのですが…まあ、山口さんトートだしなぁ。なんにしても本気で怖かったです。
で、よくよく見れば中には「チケット譲って下さい」と書いた紙を持っている方もいたりして、うーぬ、山口さんトートは三日間しか出ないとは言え、プレミアだったのだなぁ、と感心しました。
友人に感謝。
えー、どうでもよろしい前振りはここまでにしまして、ミュージカルの感想をば。
あ、以上の前振りでお分かりと思いますが、私は「エリザベート」を見るのは全くの初めてです。宝塚のものも東宝のものも、これまで全く見たこともありませんし、音楽を聴いたこともありませんでした。
故に、以下の感想は、「エリザベート」が大好きで何回も御覧になったという方から見れば、的外れなことを書いていることも多々あるかと思います。
全くの初心者の感想と言うことで、ご容赦下さい。
＜全体的な感想＞
音楽がなかなか私の好みでした。奇妙な旋律が面白かったです。ブロードウェイのミュージカル等とはまた違う、どこか怪しげな音楽ですね。人気があるのがよく分かりました。
全体的に漂う、退廃的な雰囲気ってのはちょっと好みではないのですが、ストーリーも面白かったです。…詳しいストーリー説明は割愛します。すみません、うまく説明する自信がないので。
とりあえず、１９世紀末、終焉に向かうオーストリア帝国の雰囲気がよく出ていて楽しかったと思います（頭悪そうな感想だなぁ…）。
＜キャスト別感想＞（敬称略）
■エリザベート：一路真樹
いやぁ、お美しい。遠い席でしたが、そのお美しさははっきり分かりました。
ただ、大人の女性になってからはすごくはまっていたと思うのですが少女時代はどうもしっくりこなかったように思います。可愛いお転婆少女に見えませんでした。
すごく優しい雰囲気の方なので、無理もないと思いますが。
歌もお上手でしたね。ちょっと声が聞こえにくいところもありましたが、ほとんど聞き取れないような方々に比べりゃあ十分でした。
■トート：山口祐一郎
世の中には本当にすごい人がいるのですねぇ。
なんですかその声量は。マイクいらんって。
また分かっていたこととは言え、本当に無茶苦茶お上手です。エリザベートを始め、非常に上手な方が多かったのですが、それを全部圧していました。あんまりにも圧倒的で、もうずっとこの人の歌を聴いていたいと思ってしまいました。
エリザベートのソロが一番多いのは当然ですが、「ええい、エリザベートよりトートに歌わせろ！」と思わず考えてしまった罰当たりは私です（エリザベートも本当にお上手でした）。
特に「最後のダンス」は圧巻過ぎて、ミュージカル「エリザベート」ではなく、「山口祐一郎オンステージ」になっていたような…。
内野さんトートも観た友人曰く、「内野さんのはもっと控えめなトートだった。山口さんは上手すぎて強すぎる」と言っていました。
演技面は、なにせ初めて見ることですし、他の方のトートも知りませんので何とも言えませんが…とりあえず私としてはこの歌だけで十分です。ああ、すごかった。これだけで５０００円払った価値があると思いました。劇場前のあの凄まじい方々の気持ちも分かります。
最後、カーテンコールでは「山口さーーん！！」と嬌声が上がっておりまして、ちょっと怖かったですけども。すごいなぁ、さすがだ…。
ところで私、勝手にトートの一人称は「私」だと思っていたのですが、「俺」だったんですね。
■フランツ・ヨーゼフ：鈴木綜馬
ああ、これが元四季の芥川さんかぁ。と思いながら観てました。
歌がもう、そりゃあお上手でした。綺麗なお声ですね。歌詞もきちんと聞き取れましたし（しかしこれは普通、当然のことではないのか？）。
しかしそれにしても、非常に気の毒な役なのに、なんだか最後の『悪夢』以外はけっこうクールというか冷静というか、あんまりエリザベートが何しようがルドルフが何しようが、そんなに苦しんだりはしていないように見えたのは何故だろう。「君の愛が必要だ」とか言っておきながら、いなくてもそれはそれで別に良いか、という感じ。
ともかく、全体的に、父親や夫という立場よりもオーストリア皇帝の立場の方が大事そうだったような気がします。
■ルドルフ皇太子：井上芳雄
評判なだけあって、すごく良かったです。
爽やかな美形さんですし、お歌も綺麗なテナーで非常によろしかったです。さすがに山口さんとのデュエットとなるとちょっと声が消えかけておりましたが、これは相手が悪いんだよな、相手が。
あ、友人が後でしみじみと「井上君…毎日毎日不憫な」と言っていたのですが、これは何を指してそう言ったのか私は質しませんでした。毎日毎日男とキスするって、仕事とは言えどんなものなんだろうか…しかしキスシーンは聞いていたより妖しげではなかったですな。
ただ…私不思議だったのですが、あのー、「うたかたの恋」の要素はいっこもなしなんですか？ ほら、どっかの下級貴族の娘と恋に落ちて反対されて自殺というあのエピソード（しかも自殺かどうか非常に怪しいらしい）。あれは史実ですよね？ 無しなんですか？ いつ出てくるのかと期待していたのですが。けっこう好きな話なので。
■ルイジ・ルキーニ：高嶋政宏
友人はお気に入り。私はそんなに良いとは思えませんでしたが。だって、歌詞が聞き取りにくくて…。もうちょっと上手く歌って欲しかったです。三階席は遠いのよ。
演技等は可もなく不可もなくと言う感じではないでしょうか。
大勢の中に入ってもぱっと目立つ辺りは、スター性がある人なのかなーと思いました。
■トートダンサーズ
怖かったよう！！
妖しげで人気があるらしいですが、私は駄目でした。ダンスは本当にすごかったと思います。迫力のある、素晴らしいダンスでした。
しかし、だ。
最初のシーンで「なんやあれは？！ あの不可解な物体は？！」と思ってしまったんですから仕方ない。
なぜ脱ぐ！！ なぜ床で蠢く！！ なぜずるずる這う！！ 不気味や！ 限りなく不気味やぁ！！（＜半分ほど泣いていると思って下さい。）
一番「ええかげんにせい！！」と言いたくなったのは最後のシーン。
まるで船首飾りのように横の建物だか柱だかにへばりついて、そしてそこでもまた何故に！ 何故に蠢く！？
ぎしぎしとセットが揺れて、それはそれは怖かったです。私は三階席だから良いですけど、一階席の方とかオケボックスの方とか怖くないのかな。
（あの、こんなこと書いていますが、本当にダンスはすごいと思いました。はい）
こんなものでしょうか。トートとトートダンサーに圧倒されて、他の方にまであまり意識が回りませんでした。すみません。
しかし、全体的なレベルはすごく高かったと思います。
特に、皇太后ゾフィーの側近連中の方々は非常に良かったです。実力者が揃っているという感じでした。
面白かったです。観て損はなかった。ああまで熱狂的なファンがいるのも理解できます。
また見る機会があれば、今度はもうちょっと近い席で見てみたいと思います。それに、内野さんのトートも見てみたいです。
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