アイーダ ２００４年２月１３日（火）夜公演１８：３０〜
大阪ＭＢＳ劇場 一階Ｓ席
アイーダ
ラダメス
ゾーザー
ファラオ
：濱田 めぐみ
：阿久津 陽一郎
：飯野 おさみ
：岡本 隆生
アムネリス
メレブ
アモナスロ
ネヘブカ
：佐渡 寧子
：山添 巧
：川原 洋一郎
：石倉 康子
＜男性アンサンブル＞
大塚 俊 広瀬 幹夫 吉元 和彦 秋山 光二 影山 徹
ショーン・Ｒ・ペリー 登阪 良樹 宮河 愛一郎
＜女性アンサンブル＞
五辻 彩子 遠藤 瑠美子 加藤 久美子 柴田 桃子
田邊 杏奈 井上 麻美 梅原 美穂
この間調子に乗ってヴェルディのオペラ版の方の『アイーダ』のＣＤを購入してしまったのですがね。メレブとかゾーザーとかはミュージカルのオリジナルだったんですね。て言うかメンフィスって誰。
もう一度じっくり聞いてみようと思います……
今回、えらく前の方の席であることに観劇前日に気付きました。毎度こういうことをやっているのってどうかと思います。
いやあ、前で見ると役者さんの表情がばっちり見えてよろしいですね。反対に、見事な照明の妙などを堪能したい場合は後ろの方の席が良いのでしょう。
……何故か（何故か言うな）今回は、ラダメスの気持ちが割とちゃんと伝わってきました。というわけで今回はランク落ちを免れたらだやんです。次に落ちたら「らだちゃん」、その先は「らだっち」と決まっておるのですが。（酷）
というわけでゴー。
■プロローグ〜愛の物語
この席端っこから二番目なんですよ。で、こんなに前なのに一番端の席が空いてたんですよまあいいですけど。
まあ、端の席が空いていたのは良いとして……この席、実に見事な角度でアムネリスの顔が隠れるんですよ！！ 陳列ケースの枠がちょうどかかってくれるんですよ！！ ちきしょーせっかく美しいのに！！
そして。
舞台が近いと見えなくても良いものが見えるのですね。
曲調が変わり、アムネリスがマントをバサッとやった途端、舞台上からホコリがぶわっ！！（爆） か、乾燥してるもんね冬場は……しかし、これが見えるときついっすよ！！
■勝利目指して
エジプトの半裸兵たちが踊るたびに、再びホコリが立ちまくり……。うう。いいけどさあ。
そしてラダメス。このシーンのこやつはやはりただのアホ。というか単純というか純真というか、まー要するにガキですね。良くも悪くも……といいたいところですが、主に悪い意味でものすごく幼児的な男。やだねーいい年して。
ほんと、なーにが「勝利目指して」だか。何も考えずに人の土地に乱入して略奪してるくせに。白人のやらかしたことと同じだよ……。というか、人類って何にも進歩してないんですかね。
王女さまはかっこいいです。歌はとても素敵です。ラダメスほんとやな野郎です。
ここで、「これから何をするか、分かるな」について。もっと人としてやってはならないことをやろうとしているように見える……と呟いていたら、ふたばが「実はやってるんじゃないか」と言い出しました。あの歌の間に……と。たまもはやってないと思うのですが。
いや、本当にそういうことをしていたら後の展開がありえなくなるんじゃないかと。女として、そういうことを実行した男に恋愛感情を抱くことはよほど変わった趣味の持ち主でない限りまずあり得ないんじゃ？ どうでしょう？ 女性の皆様どう思われます？
ここのラスト、ラダメスが「名前は？」と訊いたその言い方で、この時点で彼は彼女に惚れていると私は確信しました。・・・違うでしょうか？
■ピラミッドを建てよう
ああ宰相様素敵……ｖｖ（しつこい……けど書かずにはいられないので開き直って書く）
たとえ言っていることがアレでも、無茶苦茶分かりやすく「悪」のカリスマオーラを出してる割に悪事自体はすんごくありがちでしょうもなくても、あれだけかっこいいなら全て許す！
だがしかし、我が子に対する買いかぶりはちょっといただけないぞ！！ あんたの息子は言っちゃ何だが玉座に座る器では全然ない。まあ、座るだけ座らせておいて後ろからマリオネットするならこの上ない人材だと思いますが……（失礼）
ついでに疑問。このときゾーザー様（デフォルトで様付け決定）は、「我々も秘密の会合についてファラオに密告した者がいる」と言って裏切り者を粛正しておいででした。
ということは、彼の陰謀はある程度ファラオに漏れていたと。密告者が信用されなかっただけかもしれませんが、ファラオは最後のぎりぎりまで「ゾーザーを信頼していた」というようなことを言ってるんですよね……。陛下……それって、どうなの？
■私は知っている
メレブ……おいしい……（またそういうことを）
何が良いって、ここでラダメスのことをフォローしていたメレブが、後に彼を「あの男」と呼んで「気を許してはなりません」とまで言うところですね。この複雑さが素敵です。湧きまくります（ああバカが一匹ここに）。
■お洒落は私の切り札
………何度見てもアムネリスのドレスは凄まじい……。確かに目を惹くし驚くでしょう。驚きにもいろいろあると思いますが。
しかし、「私が着るから素敵」なんて、生物学的には一応女に生まれた身として一度は言ってみたいものです。おのれのワードローブの貧しさを顧みるに絶対無理ですが。
え？ お前の場合はそれ以前の問題だ？ ……ふ。まあ、そうとも言いますな。
そして近くで見るとほんとにものすごいメイクですな。まあいいけど。
■儚い喜び
ラダメス、ガキ全開。今回はあまり姿勢の悪さが気にならなかったのですが、まあその辺はキャラクターとは関係ありませんしねえ。
しかし、去っていこうとするアイーダを呼び止めたは良かったけど、くるっと振り返って「はい、将軍様」と妙にドスのきいた声で言われた瞬間君は一歩後ろに下がったな。いきなり迫力負けしてどうする将軍様。そんなこったから君はヘタレと（以下略）
そして。「全く別世界の人間なのに、それでも何かが惹かれ合う」という歌詞を聴いて私は思いました。
現実世界でこの手の感触を感じた場合、単なる錯覚である確率はおそらく７割を超えるのだろうと。
思いこんだままに突っ走ると犯罪と呼ばれる可能性があります（ストーカー規制法も出来たことだし）ので、若人の皆様気を付けましょう。いや若者に限らなくても。
……この話が基本ストーリーとしては非常に単純なラブストーリーで良かった。
■お洒落は私の切り札（リプライズ）
やっぱり良いですなあこのお二方は！！（心の叫び）
そっと声を合わせて歌った上、アイーダは優しく微笑んでアムネリスの肩を抱き（頭にあご乗せちゃったりしてるんだよー）、それに対してアムネリスもとても嬉しそうな顔をするのですよ。うわあこれ絶対「お姉様」の世界だと思ってしまった私を許してください。
……いきなり入ってきたラダメスが、お邪魔虫にしか見えなかった私は結構やばい方向に道を踏み外しているような気がします。い、いかん……うちは健全だ！！
だがしかし、このときの奴の言動には納得のいかないものが残りますね。何だってアイーダに向かって、「エジプトは強いリーダーを求めているんだ。でもそれはアムネリスじゃない」てなことを言うのでしょうか？
お前でもねぇよとかお前には人を見る目がないのかとかアイーダはヌビア人なんだから関係ないだろうとか瞬時に複数のツッコミが出て参りますが、何よりこれってゾーザーの陰謀を考えるとかなりシャレにならないやばい発言なんじゃあ……
ゾーザー様。こんなスカポンタン信頼したらあきませんて。ファラオも。うーん、この話の登場人物って人を見る目のない奴ばっかり……？
■ローブのダンス
ああ……歌かっこいい！！ ほんとすごいですね。この熱い勢いに比べれば、そりゃラダメスがいくら口説いたって（以下略）
そしてメレブ。ほぼ目の前でいきなりものすごいジャンプをされてかなり驚きました。メレブってそういうことも出来たのか！ かなりかっこよかったっすよ。
で、ローブ。あれ見る度に、戦場で黄色い旗を纏って皇帝を名乗った趙匡胤（だったと思う）のエピソードを思い出す私です。身は野にあれども心に王冠を戴く、あーかっこいい。アイーダはやはりこうでないと！
■どうもおかしい
何度見てもラダメスの身も蓋もない直球勝負ぶりが笑える。こいつ、多分これが初恋なんだろうな……いくつだ。
だがしかし。ここでひとつ、魂の底からつっこみたいことが。
ラダメスの台詞、「僕は変わった」。
どこが？ ねえどこが？ ええこら言うてみい！！
お前の本質は何一つ変わっちゃおらんだろうが。最後の最後までお前は自分の周囲の半径５メートル以内しか視界に入ってなかったくせに、何が変わったってぇ？！ ざけんなアホガキ！！
……すみません。ほんと、つっこみやすい人ですね彼。
そして、アイーダは「愛が私を変える」といいながら微笑んでいるように見えるのですが……これは何なのでしょう。
何はともかく、「ありえない」と歌って駆け去るメレブがおいしいのでよしとしましょう。
■迷いつつ
相変わらず熱烈な口説きが楽しいラダメス君ですが、考えてみればこの男はこのとき、婚約者のいる身で彼女をほったらかして他の女にうつつを抜かしているわけですよね。最低男。
そもそも、恋愛するならそういうことはきっちりさせてからというのが人としての筋というものではありませんでしょうか。私がアイーダなら、こんないい加減な男にほだされるの嫌です。まあそもそも好みじゃないけども。
それにしても………ラダメスの手、やばいとこ触ってるよな。どう見ても。男って……！！（笑）
■神が愛するヌビア
この歌は本当に良いですね〜。
ああ、泣ける……。ちぃとも生まれ変われてないラダメスはまあ、振られて当たり前ということで。この圧倒的な感動の前には愛のデュエットも何のそのですって。
………ファンの方、本当に本当にごめんなさい。
■どうしたらいい
あの三角、レーザー光線だったんですね！！ ……それだけです。
いや、その……ものすごく上手いんですが、どうもラダメスの声が声質が合ってなくて浮いて聞こえるとか、歌詞聴いてるとこいつだけはほんとこの期に及んで自己中ぶっちぎりなことしか言ってねぇとか、ツッコミどころがないとはいわないのですがね。
この男、どうにかならんのか。
■人生の苦しみ
かっこいいぃいい。
……すみません、つっこめません。（つっこまんでいい）
■この父にしてこの子あり
おやっさん素敵ｖ（もういいってば）
しかし、やはり冷静に考えるとこの人のやってる「悪事」ってありがちすぎてしょーもないですな。もうちょっとひねったことやってくれても良さそうなものを。
……まあ、その道具に使うのがアレですからねえ………ふ。（何）
だってね。ラダメスもさ、そんなにアムネリスとの結婚が嫌ならオヤジの陰謀ファラオに垂れ込めばいいじゃん。父親が反逆者となれば、そらもう確実に壊れるぞ、縁談。
そういう方向に頭が働かないのか、自分が泥かぶるのが嫌なのかは知りませんが、こんな奴は操られてりゃ良いんだとまで今回ちょっと思ってしまいましたごめんなさい。
あー、ダンスシーンはかっこいいわ。
■ラダメスの手紙
だから……こんな甘ったれた手紙書いてる暇があるならとっととファラオの元に駆け込めと。まーどこまで行ってもこの男はこんなんですなあ。
というか、少なくともネヘブカとメレブが死んだのはこやつのせい（違うというなら受けて立ってやるわ）なので、アホも行きすぎると犯罪であるといういい例かとも思います。メレブが「あの男」呼ばわりするのも、この姿を見ていればごく自然に納得できます。やれやれ。
■星のさだめ
綺麗なんですけどね、演出は。照明は本当に綺麗ですよね、星の世界のよう。
らだやん、要するにあんた振られた上利用されてんだから、もうちょっとなんていうか怒ってもいいと思うんだがどうかね？ それ以前の問題ですか？ まあこんな男だからこそかなあ……
……しみじみと好き放題失礼なことを言っていますが、わたくしこの曲はとても好きです。
■真実を見た
アムネリス様お美しい……ッ！！（しつこい）
まあ、ドレスの（というかヴェールの）ＳＦちっくなデザインが微妙なことくらいしかツッコミどころもないシーンですな。
でも、アムネリスにこんな思いをさせたのはラダメスが悪い。本当にアイーダとのことを真剣に考えているのなら（７割５分くらい一方通行だけどな）、やっぱ り彼女にはちゃんと「他に好きな人が出来てしまったんだ。すまない」と話をするのが人としての以下略。つかラダメスよ、早めにそれをやっとかなかったからヌビア王脱獄に利用されることになったんだろ、お前？
……何故にアムネリスのシーンなのにラダメスに対するツッコミで終わるのか自分。すみません。
■婚礼
ラダメスさあ。本当に、さっさとオヤジの陰謀全部ファラオかアムネリスにでもぶちまければいいのに。こんな土壇場になってやっと「あなたも終わりだ」なんて言うくらいなら、もっと早く確実な手を打てたはずでは？ あかんって、こんな男王様になっても。
ところで、この時点ではゾーザーもアイーダの素性までは知らなかったはずですが、随分と早く桟橋に駆け付けましたね。ラダメスがアモナスロを逃がそうと したのはひとえにアイーダのためなんだから、その辺を知らないとこいつの行動は読めなかったんじゃないかという気がするのですが……
しかしまあそれよりも。ラダメス。お前戦えよ。もう何度も言ったけど。アイーダかばってメレブに戦闘を押し付けるなら、ふたりをさっさと船に乗せて自分がゾーザーと対峙しろよ！！
というか、やっとこさ親父とにらみ合ったと思ったらアイーダとメレブ間に挟んで剣向け合うってどういうつもりだお前は？！ この期に及んで脳味噌どこに置き忘れてきた的行動、いい加減にしろ！！ 親父相手にカッコつけてる場合かこのアホ！！
………ふぅ。
■裁き
ラダメスさんへ。婚約者がありながら浮気に走り、しかも結局彼女には何も言わずに結婚しかけ、あげく最終的に逃げ、ましてや浮気相手のために国政を引っかき回すような真似までやらかしておいて、「傷つけるつもりはなかった」とはよく言えたもんですね。
アムネリスからすれば「どの面下げて私の前に現れた」くらい言っても誰も責めない状況のはずなんですが、ふてぇ野郎だなあお前。
私がアムネリスなら、迷わず刺すぞ。私がそんな事件担当することになった検察官なら不起訴処分に持ち込もうと画策するし、裁判官なら情状酌量を最大限に見ると思うが。最後までこれかよお前は。
で、このシーンはもう毅然として美しいアムネリス様を拝むことでアホたれを忘れることにしました。全くもって、あの男はあれだけの女がふたりして惚れるような男ではないと思うんですがねー。恋愛ってこんなもんですか。
■迷いつつ（リプライズ）〜愛の物語（リプライズ）
うーん、前の席だとアイーダの頬を伝う涙が見えますね。なかなか泣ける。
……のですが、これって要するに恋人たちにとってはハッピーエンドな訳で。アムネリスにとっては結構悲劇かもしれないけど、彼女はそんなことに負けそうにないしなあ。て言うかアムネリス様お美しいですなあ……
ラスト、見つめ合う男女をそっと見守る彼女が浮かべていた微笑みに、不覚にも涙しそうになったたまもでした。おいしいなあ、アムネリスって。